19,最後の機会 ページ19
「ーー教えて頂き有難うございます。
其れが分かれば、もう思い残す事なく逝けます」
「A ・・・・・・」
「其れから私明後日には此処を出ます」
「随分急じゃな・・・。何も用意出来ぬではないか」
「ふふっ。有難うございます。そのお気持ちだけ受け取らせて貰いますね。
恩義ある貴女を今まで騙してしまっていてすみませんでした」
私が謝りながら深く頭を下げると姐さんはそっと優しく肩に手を添え私に語りかけるように話し出す。
「A 。其方が謝る必要など初めから無い。
お主は誰より重い運命を背負いながらも良くここまで頑張った。だからこそお主が変に気負う必要などないのじゃ。そんな嘘を付いても誰もお主を責めたりなどせぬ。」
「けれど紅葉姐さん・・・。私は・・・っ」
「もし、お主が罪悪感に未だに塗れているのであれば一つ私からの願いを聞いてくれるか?」
「はい。今の私に出来る事であれば何でも」
「そうか。ではこの後の時間を私にくれるか?最後にお主と二人きりで話がしたいのじゃ。他愛もない話を」
「そんなので、良いのですか?」
「構わぬ。其れと、お主と話をするのが『そんなの』と云う扱いでは困る。お主もそれで良いかえ?」
「っ・・・はい!」
その後姐さんの要望で着物を着たり写真撮影をしたり、本当にお茶をしながら他愛もない話をした。
もう有り得ることのないこの機会を最後に与えてくれた紅葉姐さんは矢っ張り好きだし、何より偉大な人だと改めて思えた。
貴女を欺くような酷い私を今まで可愛がってくれて有難う姐さん。そして、さようなら。
またいつかきっと会いましょうね。
310人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユリア(プロフ) - すごく泣きそうになりました!でも、とてもいい結末だなーと思いました。 (2023年2月3日 23時) (レス) @page40 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
小指よくぶつける - めっちゃ泣いた。……!! (2020年8月27日 23時) (レス) id: eb8322ff5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - 粉雪餅さん» 嬉しいお言葉有難うございます!楽しんで頂けて私もとても嬉しいです!有難うございました! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪餅 - ゆうみるさん» 面白かったです!とっても泣きそうになりました!小説面白かったです (2019年9月21日 8時) (レス) id: bd26a6d5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - ななさん» 最後まで見て下さったんですね!!有難うございます泣 本作品楽しんで頂けたでしょうか?次回作はまだ思い付いてはいませんが次がありましたらまた見て頂けると嬉しいです!本当に有難うございました! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆうみる | 作成日時:2019年7月21日 8時