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▽ 17歳 (2-1) ページ31

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「あ、A、」





中村晃、17歳。





『晃!お疲れ!』





松田A、17歳。





『甲子園出場、おめでとうございます』

「ありがとう、」

『かっこよかったよ、晃』

「ふは、さんきゅ」

『ねえ抱きついていい?』

「ダメ、砂だらけになるから」

『ふふ、はーい』





高3の夏、見事俺たちの高校は甲子園出場の切符を掴んだ。県大会の全部が終わった後、球場で見ててくれたAが迎えてくれた。





「あの!」

「?」

「あの…松田さん!」

『え、あたし?』

「えっと…いつも、元気に応援してる姿に惹かれたっていうか…」

『?』

「そういう人多いみたいなので、気持ちだけでもって思ってて!」





好きです!と他校の野球部の奴がAに告白するのなんて、これが何度目かわからなかった。一年の時からAは練習試合やこういう公式戦に暇さえあれば来ていたから、他校の野球部に密かに好かれてるらしい。





『あの…気持ちは嬉しいんですけど…ごめんなさい、』

「…」

『ありがとうございます、』





ぺこりと頭を下げたAを見て、目を細めて男は笑った。ああ、こうやって優しくされるときっと忘れるのに時間かかるだろうな。





「聞いてくれてありがとう、」

『あ、いえ、』

「じゃ、」





ああ、彼は本当に高校最後の夏を終わらせた。その分俺が甲子園でぶつけてきてやる、そう思いながらその背中を眺めていた。





杉「あ!いたいた!晃さーん!そろそろ帰りますよー」

「杉谷、」

杉「あ…もしかして、邪魔しました…?」

「うん、邪魔した、」

『へ…』

杉「ひえっ!すみません!」

「嘘、」

杉「お2人どうします?俺晃さんの荷物だけ持って帰りましょうか、」

「や、このまま帰っても目立つからバス乗る」

杉「そうっすか、Aさんは?」

『じゃあ、あたし駅で待ってるね、晃、』

「うん、わかった、気をつけて」





笑顔で手を振るAを見送っていると、杉谷が嬉しそうに笑っていたので軽く蹴ると、痛いっすよと大げさに痛がっていた。





(→つづく)

▽ (2-2)→←▽ 17歳 冬



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いちか(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます!きゅんきゅんしましたかね?良かったです。結婚式や子どもが生まれた話など書いてほしいとのお話もいただいてますので検討中です◯ありがとうございました! (2019年2月24日 0時) (レス) id: d72f7e0d49 (このIDを非表示/違反報告)
りりり - 更新を楽しみにしていた一読者です。ものすごくキュンキュンしながら読ませていただきました。家族となった2人のお話の続編も楽しみに待っております。 (2019年2月22日 12時) (レス) id: a5ef03bd84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いちか | 作成日時:2018年10月28日 20時

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