たくさんの愛に包まれて２ (ページ47)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:107,536 hit

＊番外編 (2-1) ページ47

.

『あ！ほら内海さん投げないからって食べ過ぎ注意！』

「えーええやん、なあ？ぐっさん」

「ダメですよ、Aが言ってるんだから」

目の前で内海さんと山口さんと楽しそうに笑っているAを見ながら

隣に座ってきたのは勇人、

「なあ、長さん」

「んー？」

「Aと付き合って何年すか？」

「あーもう５年は経ったなー６年目？」

気づけば年齢も三十路間近、

Aとはまだ結婚していないが今でももちろん仲良くしている

別れ話が出たことはもちろんない。

「何やってんすか、」

「え？」

「結婚、しないんすか？」

「……ああ、」

結婚を考えて居ないわけじゃない、

ただ、

結婚という２文字とちゃんと向き合う勇気がないだけ。

「…A、待ってるんじゃないすか？」

「……やっぱり？」

「もう結婚してもいい歳でしょ、」

「…だよな」

Aから、もちろん結婚という言葉を聞いたわけではない。

でも、Aだってそろそろ考えてるよな。

「まさか…結婚する気ないとか…」

「それは、ない、いつかは結婚したいと思ってる」

付き合った当初は、結婚しようとか思ってたけど、

今はなんて言うか、野球が優先になっていて

言い訳に聞こえるかもしれないけど、

Aも夢が叶ってまだ仕事したいだろうしって

「…でも、今じゃないっていうか」

「じゃあ、いつなん？」

「……」

「ちゃんと、話し合ってもええんやないかって俺は思うけどな」

勇人の方が大人だ、

もしかして勇人の方がAを幸せにできたりして、なんて。

俺ってとことん弱気だよなあ、

『…さ……ひさ、…ヒサ！』

「え？あ、A？」

『どうしたの？ぼーっとして、体調悪い？』

「ううん、大丈夫」

『ほんと？ご飯は？どうする？』

「うーん、じゃあねー」

そっか、そろそろちゃんと考えなきゃだめか。

.