薬指の秘め事 (２)

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「A、」おはよう

『あ、卓也さん』おはようございます





にこり、と笑った卓也さんがまた顔を出してくれた。卓也さんの顔を見ると、何だか安心する。





「これ、暇つぶし道具」

『はは、毎日ありがとうございます』

「あ、遥輝と被ってない？」

『大丈夫です、』すみません

「体調は？どう？」

『あ、大丈夫です、全然』

「そっか、良かった」

『あの…卓也さん、』

「ん？」

『ちょっと、聞きたいんですけど』

「うん？」

『あの…西川さん…って、』

「？」

「いいもん何もなかったー、」





聞こうとしたところに、入ってきたのは西川さんで。朝ごはん買いに行ったからもっと時間かかると思ったのに、すぐ帰ってきた。





「ん？」

『あ…いや、』

「遥輝ここで食べんの？」

「え？ここで食べる」

「Aの前で食うんか、」

「ええやないっすかー、なー？Aー」

『あ、ど、どうぞ、』





自然と、聞こうと思ったことを聞くのをやめた。卓也さんも聞くのをやめた。でもあたし、今何を聞こうとしたのか、自分でもわからない。





「卓さんも食べる？」

「俺ちゃんと食ってきたし」

「えーそっか、」





あたしは今、卓也さんに何を聞こうとした？



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