〇14 ページ14
音楽室を出て、各パートがそれぞれの教室に向かう。
ユーフォとチューバがパート練習で使う３年２組は、音楽室がある棟から渡り廊下を過ぎてすぐのところにあった。
丈「合奏は15時からやから、20分後から一緒に基礎練やるか？」
『わかりました』
わたしが返事をすると、先輩は譜面台を組み立てて教本を開き、基礎練を始めた。
藤原先輩の音は柔らかく、優しく包み込まれるよう。
『よし』
１年前までやっていた、楽器を吹く前のルーティーンを思い出す。
まずは軽く深呼吸して、体の余計な力を抜く。
それから唇のウォームアップ。
口周りの筋肉がほぐれてきたかなというところで、マウスピースを口に当てた。
藤原先輩とチューバの先輩は、それぞれ教室の隅っこで椅子に座り壁に向かって吹いている。
わたしも先輩方に背を向けて、廊下側の席でロングトーンを始めた。
久しぶりの基礎練。
音の立ち上がりから吹き終わりまで、一定の音量を目指しながらロングトーン練習をする。
ひと通りやったところで、思ったより息が上がっていることに気づいた。
ああ、やっぱりブランクが。
息が安定せんかったなー…なんて考えながら、ふと教室の中央に目を向けた。
『……え？』
藤原先輩とチューバの先輩が、驚いたような顔でこちらを見ている。
さらに、教室のドアがバンっと勢いよく開いた。
思わず音の方向を見ると、西畑先輩が立っていた。
大「…なあ！今ロングトーンやってたん、丈くん！？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪(プロフ) - レモネードさん» レモネードさん！コメントありがとうございます…！そんなふうに仰っていただけて嬉しいです♪吹部に所属されてるんですね！これからも楽しんでいただけるように更新頑張ります◎ (2022年11月17日 21時) (
レス) id: 01aa64d0d1 (このIDを非表示/違反報告)
レモネード - めちゃめちゃ面白くって、スクロールする手が止まりませんでした！！私も吹部に所属しているのでこういう設定はとても嬉しいです！更新楽しみにしています！ (2022年11月17日 21時) (レス) @page46 id: 2a81c5c52d (このIDを非表示/違反報告)
米山瑞稀 - なにわ男子 (2022年11月17日 20時) (レス) @page1 id: d103d0e008 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪 | 作成日時：2022年11月15日 14時
