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__いくら速いスピードで走ったとしても、元からあった距離が無くなる訳では無い。



私の手が届く前に、赤犬の腕が白ひげさんの心臓へと伸ばされる。

直線上には海軍だけでなく味方である海賊達もおり、無闇に攻撃を飛ばすことはできない。




『っく…!』




目を見開いて逸らすことなく、異様な熱を発するそれをただ見ることしかできなかった。




じゅ、と肌が焼ける音がする。




七海さんが死んだ時と、同じ匂い。




『ッ彼岸視術』

「グズグズするな!!

全員で“白ひげ”の首を取れェ〜!!!」




蘇った忌まわしい光景に視界がぶれ、己の非力さを嘆くように奥歯を噛み締めた。


強烈な死の匂いを滾らせる花のその儚い命を無惨に蹴散らす。

舞った赤い花弁が、新しい死の対象を定める。



白ひげさんの胸元を掠めたその赤い拳が離れると同時に海軍の白ひげさんへの集中砲火。
常人なら死んでしまうようなその攻撃に顔を歪めた。



誰かのために命を投げ出す人なんて理解出来ない。
だって、私は生きていたいから。


__ただ。

今貴方が死ぬのは、違う。



体から何かが抜けていくこの感覚が、私が戦えることの証だ。




『“ひ__』

「__来るな!!」




突き出した刃を赤犬に向けると同時に聞こえた声に足を止める。

巨体故に的になりやすいその体は、あの攻撃の嵐にビクともしなかった。




「こいつらァ、これしきで…!俺を殺せると思ってやがる」

「__」

「助けなんざいらねェよ…



__おれァ“白ひげ”だァア!!」

『!』




一瞬でなぎ倒された海兵達に、自分の肌がぞくりと粟立つのを感じた。


正しく《怪物》、そう冠するに相応しい異常な強さに、らしくもなく自分の手が震えるのを感じる。




「…俺が死ぬ事、それが何を意味するか。
…おれァ知ってる…!!

だったらおめェ…息子たちの明るい未来を見届けねェと、おれァ死ぬ訳にはいかねェじゃねェか…!」

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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時

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