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この薙刀は呪具では無い。
呪いへの耐性がない武器に呪力を込める際には、より一段と繊細な呪力操作が必要とされる。
イメージするのは体を流れる血液が自分の意のままに動く状態。
心臓から送り出された血が血管を通って指先へ流れる。
熱を持った指先が武具に触れ、そこを媒体として呪力が薙刀へと流れ込んだ。
ゆっくり。優しく。そして正確に速く。
カッと目を見開いた先に映るのは、小さな呪力の塊。
まだ、まだ。無駄遣いはダメ。
確実に、適正な量で、着地の衝撃を殺せる程度の威力を。
ベストなタイミングで。
『__ッ!』
今だ。
そう思った瞬間手の甲に血管が浮き上がるほど力を込め、凝縮して固めた呪力を放出した。
音速に迫る速度のそれは狙った点を正確に撃ち抜き、破壊による爆風を巻き起こす。
それが私の重力に従い落下する勢いを殺して、私はなんとか無傷でその場に降り立つことが出来た。
ト、と地面に着地した瞬間、今度は足に呪力を込め飛び出す。
ガキィン、と金属同士のぶつかり合う甲高い音がして、私は己の背後に倒れ込む人物に声だけをかけた。
『ルフィ、大丈夫ッ?』
「わりぃ、平気だ!!」
威勢のいい声が返ってきて、私はすぐに重ね合っていた刃を押し切った。
飛び退いた海兵を追うことはせず、ルフィに狙いを定める海兵に薙刀を下段に構え下から上へと振り上げる。
しかし鉄の板のように弾き返され、思わず舌打ちを漏らした。
沸点が低いと言われればそれまでだが、ふん、と弾き返した海兵が鼻を鳴らしたので少しだけムカついて拳を突き出した。
拳が風を切る音と共に少量の呪力が弾となってその海兵へと向かう。
無論彼に呪力の動きは見えていない訳で、私のそれを悪足掻きと受け取ったのかこちらへトドメを刺しに飛び出してくる。
「ガッぁ?!」
しかしその瞬間彼はがくりと膝を着いて倒れ込んだ。
太ももから吹き出た血に私はべ、と舌を出し刃の峰で後頭部を思い切り叩く。
人体の理よろしく気を失った海兵には既に興味を失い、私はすぐに援護という目的を果たすためルフィへと向かっていく海兵へ薙刀を振るう。
しかし、多勢に無勢。
ビームのようなものに貫かれたルフィが、その場に倒れた。
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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時