検索窓
今日:43 hit、昨日:56 hit、合計:227,422 hit

ページ13



エースさんを認識した瞬間、耳元で聞こえた低い声。

ヒヤリとした感触が肌にあたり、先程の緊迫した光景が思い出される。




『ックロコダイルさ__』

「黙ってろ。
舌ァ噛むぞ」




腰に回された太い腕が私の体をがっしりと掴み、そのまま彼の体がサラサラと砂になっていく。
巻き起こされた砂嵐に固く目を瞑ると、いつの間にか肌を打ち付ける風は止んでいた。


目を開ければ、鯨の形を模した船体の上に下ろされた体。
損傷した箇所はどこもなく、五体満足で帰ってこれたのだと認識すると、ハッと我に返って頭上を見上げた。




「…あ?」




不機嫌そうに葉巻から紫煙を昇らせるクロコダイルさんが真後ろに見えて、私を抱えて着地してくれたのだと理解した。

反射的に礼を言いそうになったが、よくよく考えれば先程彼に殺されかけているのだ。

ぐっと唇を噛み、出かけた言葉を飲み込む。




「…なんつー顔してんだ」

『…お礼なら言いませんから』

「んな金になりもしねぇもんいらねぇさ。



…ただ、これで借りはなしだ」




私の顔より少し下にずらされた視線。

黒の瞳に僅かに奔った赤は、すぐに興味なさげに消えてしまう。


そんなことを気にする人だったのかと疑問に思えば、海から引き上げられたイワンコフさんと目が合った。
バチンと向けられた強烈なウインクに察しがついて、この人も大概世話焼きだと肩を竦める。



うなじを撫でた風に背後を振り返れば既にクロコダイルさんの姿はなく、砂が風に乗ってある一点へと向かっているのに気付いた。
どうやら彼も彼で自分の目的を果たすために既に動き出しているらしい。


どこからか聞こえてきたルフィの雄叫びに苦笑を漏らして、私も未だ手に馴染まない得物を握り直した。

モラトリアム→←鰐とてオカマには勝てぬ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (342 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
769人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。