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48.お別れ。 ページ48

屋上を出て階段を下りながら、私は潤さんに話す。

「潤さんが失恋の話をしたのは、私の想いに気付いたからですよね?」
「...え?」
「私を諦めさせる為に、あの話をしたんじゃないですか?」
「ハハッ、意外と鋭いな」
「なのに、私は諦めるどころか『利用しろ』とか言い出した」

「予想外過ぎるよな」と潤さんが苦笑い。
「ちょっとだけの御利用、ありがとうございました」と言うと「ホント、バカ」って拳骨をコメカミに当てられる。
だけど、エレベーターでは二人とも黙っていた。
お互い、パネルの中で光る数字をただ目で追い掛ける。

一階に着いてビルを出ると、少しだけ涼しくなった風が私達の髪を揺らした。


「潤さん、お別れですね」
「え?」
「私、管理人するの明日までだから」
「あー...そっか、そうだったな」

短い沈黙。
夏の終わりが、駆け足でやって来る。


「あ...屋上、来年からもし澪のお客さんに解放するならお父さんと話をしてみてください」

そう言えば『穴場を教える』って、お仕事だった。
私情を挟みまくっちゃったけど。

「一応『貸出』って事になるだろうから、無料で...とかは難しいかもしれないんですけど...」
「当然だよ、それはビジネスなんだから」
「じゃあ...うん、また話せる時間が取れるかお父さんに聞いておきますね」

まだまだ一緒に居たいのに、もう話す事が無い。
何でもない世間話をするには、ちょっと屋上での空気感が邪魔をする。


「では...また明日」
「あのさ」
「...はい?」
「屋上は、みぞれの物にしとく方が良いよ」
「...え?でも...」
「何だか勿体ない。あの場所が誰かに知られてしまうのは」

潤さんがビルを見上げた。
さっきまで二人で居た場所。

「ってゆーか、俺が秘密にしてたいのかも」
「え...?」
「あ、ごめん。電話だ」

袖口からスマホを出した潤さんが「旬か...」と呟き電話に出る。

「もしもし、あぁ?うん、居ないからもういっかと思って。穴場?あー...」

潤さんがチラっと私を見た。

「そんな大した事無かったかな、お客様に提供できる感じじゃないと思う」

悪戯っ子の顔。口の端がキュウっと上がった。


「あ、みぞれのヘアメイク?旬がやったんだろ?え?どうって...」

「んー...」と私を今度はジィっと見る。恥ずかしくて視線が定まらない。


「綺麗だと思ってたよ、ずっと」


「今日はね」と、やっぱり意地悪だけど。
私は、早く100年経てばいいのに!と本気で願った。

49.Shangri-laEDGE。→←47.100年経ったら。



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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2018年8月11日 13時

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