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41.りんご飴。←9.19 ページ41

潤さんは「こんなの食い切れんの?」って不思議そうに言うと、歩き出した。
私も「食べきれます!」って歩き始める。
ペロリと一舐めすると、こんなに甘かたっけ?って思う程に舌先が甘くなる。


「やっぱ時代はマンゴーかき氷らしいよ」

かき氷の屋台を見ながら、潤さんが言う。ふわふわのやつ。

「潤さん」
「んー?」
「ありがとうございます」
「何が?」
「これ」

りんご飴を顔の高さまで上げる。

「あー、お礼の品なんだから気にすんな」

お礼だなんて、潤さん元々来る気無かったのに...。
私の方がお礼をしたい位だ。

「潤さん」
「さっきから何だよ!」

うるさいなぁ!って彼は笑って私を見た。
...嫌になる、うるさいって言われてるのにこんなにドキドキするなんて。
こんなに嬉しくなるなんて。


「潤さんは何か食べないんですか?」
「えー...高いんだよなぁ...」
「お祭り価格ですもん」
「自分で作る方が良いって思っちゃうんだよ、焼きそばとか」
「焼きそば、得意なんですか?」
「大得意」

本当に得意気な顔。

「焼きそば、食べてみたいです」
「そこに売ってるよ」
「違う!潤さんの作ったやつ!」
「アハハ、まぁ機会があればな」

意地悪言われるのだって、嬉しい。
叶うか分からない口約束だって、嬉しいし叶えたい。

提灯の灯り、薄暗い道、太鼓が響く音頭に、たくさんの笑い声。
下駄のせいでちょっと痛い足も、風物詩に感じる。

お祭り価格って、きっとその時間の値段も入ってるんだ。
だって、りんご飴を普段食べてるか?って言われたら食べてないし、売っててもきっと買わない。
だけどお祭のりんご飴は、特別だ。真っ赤で大きな林檎を持って歩く事も楽しい。


「何か人増えて来たな」
「もうすぐ花火の打ち上げ時間だからかなぁ」
「みぞれが言ってた穴場ってどこ?」
「あ、ちょっとここからは離れるんですけどね。えっと...」

キョロキョロと辺りを見渡す。
旬さんと斗真さん、どこ行ったんだろう...見失ってしまったって言うより、二人が私達の元に戻って来ないって言う方が正しい気がする。

「盆踊りしてんじゃねぇの?」
「じゃあ、電話して呼びますか?」
「あー...いいや、面倒臭い」
「え?」
「俺だけでも行けば問題無いだろ」
「...え?」
「案内して、穴場」

それって...

「...潤さんだけ?」
「何か問題でも?」
「......無いです!」

どっち?って遠くを見てる潤さんの首に、ホクロを見付けた。

42.大事件。→←40.FESTIVAL。



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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2018年8月11日 13時

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