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12.箱の中身。 ページ12

「そこ、座ってねー」

生田さんが、部屋の真ん中に配置されてる革張りの茶色いソファに座るように促してくれた。
まだ新しいのか、座った瞬間に漂う革の匂い。
アイアンと木材で造られたテーブルを挟んだ向かい側には、ミッドセンチュリーな黒いソファ。
そこに座った生田さんが「はい、さんぴん茶」とテーブルに琉球グラスを置いた。

「いただきます...」

...オシャンが過ぎる...。
何だここは。さすがモデル事務所。
場違い感ハンパナイ。

私の隣に座った小栗さんが、自分で淹れたお茶を飲んでる。
目の前では生田さんが段ボールを開封し始めた。

「良いの?斗真、こんな所で開けて。Aちゃんに見られちゃうけど」
「やだぁ、Aちゃんちょっと目ぇ瞑ってて?」

「え!?」と驚いた私を見て、小栗さんがクスクス笑ってる。

「これこれ!これを求めてたんだよー」

そう言って生田さんが出したのは、普通のモバイルバッテリー。
めちゃめちゃ普通のモバイルバッテリー。

「バッテリー...」
「壊れちゃって困ってたんだよねー、最近スマホすぐに電池無くなるし」
「あー...」
「あれ?Aちゃん、何を想像してたの?」

ンフフーと生田さんが面白そうに笑うから、何か悔しくてさんぴん茶を一気飲み。



「みぞれ、何してんの?」

ブフッと喉が鳴った。危うくお茶を吹き出す所だった...ギリギリセーフ。
声がした方を見ると、松本さんがオフィスの入口に居る。

「あ...お届け物を渡すの忘れてたんで...」
「お届け物?何?」

生田さんが「これー」と得意気にバッテリーを松本さんに見せてる。

「おい、斗真。私用でここの住所使うなよ」
「だって家よりここの方が長時間いるし」
「でも結局受け取れなかったから、持って来て貰ったんだろ?」
「アハハ!まぁそうなんだけど。ありがとね、Aちゃん」

いえいえ、と生田さんに応えながら目では松本さんを追ってしまう。
彼はパソコンが置いてあるデスクに座って、キーボードを叩き始めた。

「潤、どこ行ってたの?」
「便所」

松本さんもお手洗いに行くんですか!ちゃんと人間だった!
しかも『便所』だなんて...男らしい!
......ダメだ、何もかも格好良いと思ってしまう恋愛初期の浮かれ症状が始まってる...。

ちょっと思考を変えようとオフィスの中を見渡してみた。


「あれ...?」

目に入ったのは、窓辺に配置されてる大きな鏡と椅子。

「美容院...?」

私が言うと、小栗さんが「そう思う?」と笑う。

13.お仕事。→←11.初潜入。



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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2018年8月11日 13時

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