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9.みぞれ。←8.29 ページ9

「23、24、25、26、27、28、29...」

指を折りながら数える。

「七歳差...」

出勤して来た人たちが窓の向こうを通り過ぎて行く朝の管理人室で、眠たそうな皆さんに「おはようございます」と声を掛けながら私は考えていた。

七歳差って、どうなんだろう。
年下の私からしたら、正直そんな気にならない。好きな俳優さんだって30歳を過ぎている。
だけど、年上の方からだと七歳下は相当子供かもしれない。
しかも私はまだ『学生』だ。
対して松本さんは社会人で、しかも会社を自ら立ち上げるような人。


「おはよ、Aちゃん」
「あ、小栗さん!おはようございます!」

背の高い小栗さんが腰を屈めて管理人室の窓を覗き込んでた。
手にはパックの野菜ジュース。

「潤、もう来てた?」
「いえ、まだ来られてないですよ」
「あ、ホント?ありがと」

ニコっと微笑んで彼はエレベーターホールの方へと歩いて行く。

例えば、小栗さんだったら七歳も年下の女ってどう思うんだろう。
でも何となく年上の女性の方が好きそうな感じ?大人な女性にモテそうな気がする。


「おっはよー!Aちゃん!」
「生田さん、おはようございます!」
「今日も頑張ろうねー」
「はい!」

「あ!旬、待って!」と小栗さんを見付けたらしい生田さんはそのまま彼の元へ走って行った。

例えば、生田さんなら...いや、彼は年齢とかに囚われてない気がする。
人間が好きなタイプって感じ。好きになったなら年齢どころか性別だって関係無いって言っちゃいそう。


...松本さんは、七歳も歳が離れてる女は眼中にも無さそうかも。恋愛対象外。
私が無意識に『身の程知らずな恋』だと思ったのは、彼のそんな雰囲気を感じ取ってしまったからなのかもしれない。
私は大人で格好良い松本さんに憧れているだけな気もする。
でもそれは、これが恋だと認めたくないだけの自分への言い訳な気もする。


「おはよう、みぞれ」
「おは...え?」

今窓の外を通り過ぎてったのは、間違い無く松本さん。
慌てて管理人室から出てその背中に「おはようございます!」と声を掛けた。

「...あの、松本さん!」
「ん?」
「みぞれ...って何ですか?」
「アンタ、みぞればっか食ってるから」

松本さんは、別にニコリともしない。


「もしかして、私の事ですか?」

何も答えずちょっとだけ笑った彼の目の前で、エレベーターの扉が開く。


「じゃあな、みぞれ」

彼はこっちも見ずに、エレベーターの中へ消えてった。

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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2018年8月11日 13時

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