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49.Shangri-laEDGE。 ページ49

最後の出勤日、澪の三人が管理人室にやって来た。

「Aちゃーん、お疲れ様ー!」
「短い間だったけど、ありがとう」

旬さんから差し出される、大きな花束。
まさかこんなセレモニーが待ってるなんて思ってなかった。

「俺らから、ささやかなプレゼント」
「全然ささやかじゃないですよ!凄い!」

わー!って花束を受け取ったら斗真さんが「結局一緒にご飯行けなかったねぇ」と、ちょっと膨れっ面。

「って事でAちゃんサヨナラ飲み会!...と言いたい所なんだけど、俺ら今から取引先とのご飯が入っちゃって...オッサン達よりAちゃんと食べたいのに!」
「こら、斗真。大切な取引先なんだからマジでそーゆー態度出すなよ?」
「大丈夫!俺が外面良いの、皆が一番知ってんじゃん」
「顔と愛想だけは良いもんな。頭はアレだけど」
「ハァ!?」

騒がしい二人の後ろで、潤さんが軽く手を挙げた。
旬さんがこっちをチラっと見て「斗真。俺、煙草買いたいからコンビニ付き合ってよ」と斗真さんをビルの外へ押し出す。
「Aちゃん、またねー!」って斗真さんの声。


「昨日はどうも...」
「覚えてない」

顔を見合わせて吹き出す。

「...寂しいです」

潤さんに会えなくなる。
単純に寂しくて、今日が来る事を考えないようにしてた。
春からは私もこのビルで働くと言っても、違うフロアで全然違う仕事をしてたら顔を合わさない日だって普通にあるはずだ。


「別に遊びに来たら良いじゃん」
「え?」
「だって、ここお前んちみたいなもんだろ?」
「...まぁ、そうですけど」
「俺もお前が居なきゃ退屈しそうだし」
「...それは良い意味ですか!?」

前のめりな私のオデコを人差し指でグイっと押し戻して、潤さんは「うるさい」と笑う。


「私、絶対に潤さんを退屈させませんよ!余計な事、考えなくて良い位に」
「おいおい、余計な事って」
「あ...ちょっと言い方を間違えたかもしれません」

人の思い出を『余計な事』ってのは駄目だ。反省。


「でも、潤さんが悲しい事を思い出さなくて済むようにしてあげたいんです」
「みぞれが?」
「私がそれを出来たら、嬉しいです」

潤さんが、緩く笑った。それが櫻井さんに見せてたような表情で、何か、それだけで...。


「10年早ぇよ」


低くて鼻に掛かる声。

「え...10年...え!めっちゃ短くなった!」
「じゃあな、A」

ヒラリと手を振る後姿。



彼の世界の端っこに、指先が触れた気がした。

■作者より完結のお話■→←48.お別れ。



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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2018年8月11日 13時

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