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47.100年経ったら。 ページ47

「100年早ぇよ」
「...だったら100年後、彼女にして下さいね」
「お互い生きてたらね」

ククっと笑って、彼は私の体をソっと離した。目の中に花火が飛び込んでくる。
何だか今日初めて、ちゃんと見た気がする。


「...綺麗」
「そうだな」
「だけど潤さんの方が綺麗です」
「ありがと。でもみぞれの方がなんて、俺は言わないけど」

むぅって顔したら、潤さんはハハーって笑う。

「潤さんは、意地悪ですね」
「比較的、昔からよく言われる」

潤さんは飛んでったハットを拾いに行って、「たーまやー!」なんて言って、もう一本ビールを飲んで。
打ち上がる花火を、さっきより穏やかな顔で見上げてた。


「100年経ったら、潤さん意地悪じゃなくなってるかな」
「どうだろ。人の性格なんか簡単には変わんねぇからな」
「ねぇ、潤さん」
「なに?」
「お誕生日、おめでとうございます」

へ?って潤さんが私を見た。

「言うタイミング、変じゃない?」
「そうですか?」
「ってか、知ってたんだ」
「旬さんから聞きました。でも今日知ったから、何もプレゼント用意してないんですけど...」

そろそろ花火が終わる時間。

「こんなトコで花火見れたし、もう充分」

空一面に、金色の花火が広がった。
最後の乱発だ。シャワーみたいだ。


「この花火、俺の為に上がってんのかなー?って勘違いできるな」
「お誕生日おめでとうございます」
「アッハッ、ありがとうございます」

二人で空に向かって拍手を送る。
賑やかだった空が、シン...と静まり返った。


何だか、夢から醒めてしまったような、そんな感覚に襲われた。
さっき潤さんに抱き締められた事も、幻想なんじゃないか?って本気で思う位。

思わず、潤さんの浴衣の袖を掴む。

「どうした?」
「......好きです」

今更感ハンパ無いけど、どうしても言いたくなった。
言っておきたかった。

「うん」

潤さんは、短く相槌をうつ。

「アハッ、バレバレですよね」
「さすがにね」
「でも好きです。好きな人にハグされたから、私は凄く嬉しかったです」
「寂しさを埋める為に利用されたんだとしても?」
「はい。だって驚く事に、その好きな人は100年後に私を彼女にするって約束してくれましたから!」

私が笑うと、潤さんは弾けたように笑った。私の背中を、ポンっと叩いて。

「医学が発達しますようにー!」って天に向かって両手を合わせる私を見て、潤さんはまたケラケラと笑った。

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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2018年8月11日 13時

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