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5.かき氷。 ページ5

「その席」

2席向こうから話し掛けられ、口の中にあったかき氷を飲み込む。

「すげぇクーラー当たらない?」
「あ...はい、めちゃめちゃ当たります」
「寒くない?」
「むしろ、それを狙ってここに座ってます」

松本さんがちょっと目を丸くした。

「なんだ。知らずに座ってるなら代わって貰おうと思ったのに」
「え?」
「俺もそこの席好きだから」

頬杖をついて、私の席を指さす。
私は長年通ってこの席が1番涼しいって気付いたのに、松本さんはたった数ヶ月で気付いたのか。


「じゃあこれからは私と松本さんで端っこ争奪戦ですね!」
「いや、そこまでの熱量は無い」

シラーっと言われて、握ってた拳をそろーっと解く。
仲良くなれるかなー?なんて思ってたけど、あの二人と松本さんはやっぱりちょっと違うらしい。
何だか気まずくなって、かき氷をシャコシャコ。

カラカラと、松本さんがストローでアイスコーヒーを混ぜる音。

「なぁ」
「え?」
「それって、もしかしてみぞれ?」

私の食べてるかき氷を見ながら、彼が言う。

「はい、みぞれです」

何故か昔から、みんなが色とりどりのかき氷を食べてる中で私だけ何にも掛かってないよーな真っ白の氷を食べてた。


「みぞれ好きなの?」
「はい!」
「へぇ、珍しい」
「あー...ですよねぇ」

そりゃ、最近の若い女子はマンゴーのやつとか7色のやつとかを「ばえー!」とか言いながら食べてるんだろうから、こんなに地味なかき氷食べてるのは珍しいと思う。


「俺もみぞれが一番好き」


ホント映えないわ...なんて思いながらみぞれかき氷をつついてる私に、松本さんが言った。

「松本さんも?」
「うん。だって他のシロップなんて色がついてるからその味だって気がするってだけでしょ」
「えー?それは極論なのでは...」

苺は苺の味がするよーな...
マンゴーとか、その物が乗っかってるし。

「最近はちゃんと果物の味がするかき氷も増えたけどね」
「でしょ?ですよね!」
「でも好きなのはみぞれなんだろ?」
「ホントみぞれって美味しいですよねー」

ンフーと笑いが漏れた私を見て、松本さんが「アハッ!」と笑った。


「なんか面白いな、アンタ」

クックッと肩を揺らしてる。

「みぞれ好きな奴に初めて会った」

松本さんはクスクス笑いながら、ストローを咥えアイスコーヒーを飲む。


笑ってるの、初めて見た...。

その横顔が思ってたよりずっと柔らかくて、どうしてだか私は目を逸らしてしまった。

6.光。←8.25→←4.苦笑い。



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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2018年8月11日 13時

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