マカロンとコーヒー【meychan】

▽ ページ21

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外に出てお目当ての人を探せば、柵に体を正面から預けてタバコを吸ってる姿を見つける。別に隠さなくたっていいのに。



「Aさん」

『わ、え、めいちゃん』

「俺にも1本くーださい？」

『…………いいけど、』



同じように隣に並んで、柵にもたれて、Aさんにもらったタバコにライターを借りてつける。吐く煙を、Aさんに行かないようにしたら、こちらに視線を感じて。



『………優しいね、慣れてる』

「最後の一言余計だけど、ほんとに余計なことばっか身についてるから、ふふ」

『どーしたの、タバコもらいにきたわけじゃないでしょ？』

「えー、なんもないですよ。Aさんとお話ししたいなって、」

『………うそだ、』

「ほーんと。じゃあ、聞きたいこと。なんでこの前、タバコ吸ってるの隠したんですか」

『…………あらきさんに聞いたの』

「んーまあ、喋ったのはなるせですけど」

『……あとで怒っておこ』

「別に隠さなくてもいいのに」

『可愛くないじゃん、タバコ吸ってるのも、タバコの匂いがするのも』

「…………俺にかわいいって思われたいってこと？」

『………ごめん、この前傷つけちゃったのに、期待させちゃいけないね。』



そう言って火を消して、去ろうとするAさんの手を掴んで、元の位置に逆戻りさせる。柵から伸ばした手は繋いだままでも怒らないんだから、ほんとにずるい。



「ツアー始まってからずっと落ち込んでるって聞いた」

「今のことも落ち込んでることも、俺期待しちゃえるよ？」

『…………だめだってば』

「なんでAさんの方が、つらそうな表情するの」

『……っ、』

「…………俺のこと嫌い？」

『………その聞き方はずるいなあ、』



結局Aさんは俺の質問には答えず、暗くなりかけた遠くの空を見ながら、つぶやく。



『……………めいちゃんとは、付き合えないよ』





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