百三十九振り ページ19
「…そうか。あんたの役に立った様で、良かった」
山姥切がぽつりと呟いた。
会話が無くなる。
「………俺が眠って、どれだけ経ったんだ？」
「約二日だよ。山姥切が手入された次の日で戦闘は終わってね。今日は休暇日」
「何か変わった事は無かったか？」
『変わった事』か。
一番は、山姥切が傍に居ない＿＿いや、居るのだが会話が出来ない、というものだけれど＿＿
「…そう。明石国行が本丸に来たよ！」
山姥切は、目を見開いた。
「明石国行…確か、来派の祖が鍛刀した刀だったか。……愛染は、喜んだのか？」
「そうだね。平然を装ってる感じだったけど……やっぱり、嬉しそうだった。漸く来てくれた、同じ派の刀剣男士だもんね……」
明石国行は現状、三条大橋の時間遡行軍と交戦、勝利を収めた場合に稀に入手する事が出来る刀剣だ。
＿＿一度の交戦で来てくれた事がありがたい。
半年以上、愛染には寂しい思いをさせていただろうから。
「……よし、起きたら頑張って蛍丸を鍛刀しよう！！」
「余り無理はするなよ」
「分かって……」
不意に、目の前が真っ暗になった。
堪らず額を手で押さえる。
目を瞬かせる。
変わらず視界は真っ暗だ。
「…どうした」
「わか、んない…何も、見えない」
身体が重くなっていく。
冷えていく。
「……もうそろそろ、夢から覚めるんだろう。そのまま、身を任せたらどうだ？」
堪らず首を横に振る。
『夢から覚める』。そんな状態には思えない。
怖い。何故か、妙に、怖い。
「怖い」
「何故だ？」
「……分からない」
暗闇の中、山姥切の落ち着いた声だけが聞こえる。安心出来る。
温もりが、手に触れた。
「人肌があると、安心出来るんだろう。手を握っておく。此処は夢だが……安心して眠れ、A」
意識が徐々に輪郭を失っていく。
やっぱり怖くて、山姥切の手をぎゅっと握る。すると、山姥切が握り返してくれる。
子守唄が聞こえてきたところで、私は意識を手放した。
〜
「＿＿……ぃ！主！！」
私を呼ぶ声がする。
酷く焦っている様だった。
目を開けようとするが、薄らとしか開かない。
「主さん、死ぬなよ！！」
『死ぬ』＿＿誰が。主が。主は私だ。私が死ぬ。何故。
思考に、靄が掛かっている。
手を伸ばすと、誰かに強く掴まれた。
「主、お願いだ………死なないでくれ」
微かに見えたのは、今にも泣き出しそうな顔で私を見る、山姥切だった。
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ナガミ(プロフ) - 睦月乃さん» 御意見、有難う御座います！良い話だなんて…創作者として冥利に尽きます。大変嬉しいです！！私も長い話の方が好きなので、もうなんなら文庫本になるくらいに書きたいと思います！！ (2018年9月16日 0時) (
レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - Lupineさん» 御意見を下さり、有難う御座います！占ツクでは余り長い物を見た印象がないため、長編は嫌われるだろうか…そんなにこの話に興味はないだろうか…と悩んでいたので、長編が好きだといってくださって嬉しいです！もうとてつもなく長く書きたいとおもいます！！！ (2018年9月16日 0時) (レス) id: 80f8c5534f (このIDを非表示/違反報告)
睦月乃(プロフ) - 私は長い話の方が好きです！ いつも良い話をありがとうございますこれからも頑張ってください応援してます (2018年9月14日 17時) (レス) id: fab13ef4ac (このIDを非表示/違反報告)
Lupine(プロフ) - 私は長編小説を読むのが好きなので長く書いてくださると嬉しいです！これからも応援してます！ (2018年9月14日 7時) (レス) id: 4de4e1b52c (このIDを非表示/違反報告)
ナガミ(プロフ) - マナマナさん» コメントありがとうございます！！！そう言って頂けてとっても嬉しいです！！！！！！もう本当に嬉しいです...ありがとうございます(´；ω；`)これからも好き勝手更新するので、お暇でしたら是非見て下さい！！！本当にありがとうございます！！！！ (2018年9月1日 18時) (レス) id: 6b18d1cb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナガミ | 作成日時：2018年4月4日 21時
