【アイナナ】大変で幸せな日常【笑顔のキミが好き(百) after】 2 (ページ42)

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でも記者か･･･

最近というか、月雲了が私たちから手を引いてから、そういうのだいぶ少なくなったと思ってたけどなぁ･･･
3人目のRe:valeが性別不明とかの時とかヤスが売れ始めた時とかは純粋に多かったし、月雲了が絡んでた時期は多分月雲の差し金で多かったけど。

カーテンを開けてベランダに出て夜の町を見下ろすも、当然のように下は見えない。
暗くて高くてむしろ怖いくらいだ。

百の部屋からは近くのマンションが見えることを思えば、遮る物がない私の部屋は、部屋に入ってしまえば安心できる。
カーテンを開けてても、上の階から何らかの方法で撮影されたりしなければ問題ない。
まあ可能性はないわけじゃないから、カーテンは閉めてるけど。

お風呂に入りたいと思うものの、百がいつ来るかわからない上に、入ってる途中で来られたら困るので、取りあえずお風呂だけ沸かすようにセットしてから映画の台本を手にとってめくる。

そうちゃんがヤンデレ系新人助手で、怪しい役。
みっちゃんがコテージの料理人。
トウマが依頼人。
トラはコテージ所有の社長。

面白いよね。
本人に似合いそうな感じでうまく配役されてる。

あとはコテージの管理人だとか依頼人の友達何人かだとか。

声に出して台本を読む。
いつの間にかのめり込んでいて、インターホンの音でハッとした。

エントランスからじゃない。
急いで玄関を開けると、百がニカッと八重歯を見せて笑って手を振っていた。

『記者って、大丈夫だった？』

ドアを閉めると百が靴を脱ぐ。
話しながら洗面所で百が手洗いうがいを終わるのを待った。

「うん。帰ってもらった。夜通し張り込んで風邪ひいちゃったら可哀想っつって」
『可愛い百で引いてもらったの？』
「その言い方、オレが作ってるみたいじゃんか」
『え？違った？』

むう、と口を尖らせた百に、ニッと笑って返す。
リビングのドアを開けてる百が、考えるように視線を彷徨わせてから私を見てニヤッとする。

あ、なんか反撃される予感。

「作ってるオレも作ってないオレも好きでしょ？」

否定するという答えは当然ない。
でも肯定するのは恥ずかしい。
逃げたりスルーしたり逆に攻撃するのも良し。いつもやってることだから。

多分百もそう思ってるだろう。
なら答えは･･･

『うん、そうだねぇ』

何でもないことのようにサラッと答えて、さっきまで見ていた台本を鞄にしまう。
百を見ると、目を丸くして驚いてるんだか喜んでいるんだか、頬を赤らめていた。