66 ページ16
「ぅわぁ！すごい綺麗！！Aさん、次はこれ着てみて！」
瑠璃さんは、雑誌企画の担当さんと私が顔見知りと知るが早いか、私にもウェディングドレスの試着を勧めてきた。
担当さんが、待ってる間暇ですよねと勧めてきたのがきっかけではあるんだけど、それを聞いてた瑠璃さんが、見たい見たいと凄い興奮してて遠慮するという選択肢が秒で抹殺された。
さっきまで私と瑠璃さんの担当さんが交互で、瑠璃さんのウェディングドレス姿の写真を撮ったり、私のウェディングドレス姿の写真を雑誌企画の担当さんが撮ってくれてたのに、今は瑠璃さんが私のウェディングドレスの写真を撮ってるだけになってる。
めっちゃハイテンションで5着目を勧める瑠璃さんに苦笑いした。
『瑠璃さんがメインですから最後にしましょ？』
「予行練習だと思えばいいのに。来るべき日のために！」
･･････ほんとに苦笑いしか出来ない。
『確かにそういう時が来たら、ゆっくり試着する時間とかはなさそうだから悪くはないですけど･･･』
長居すればショップに迷惑かけるかもと思ってしまう。空いてはいても。
なぜなら予約してたのは瑠璃さんだけだったから。
言葉を濁すように言うと瑠璃さんも気づいてくれたらしく、笑顔になってくれる。
「まあでもAさんの言うこともわかるし、今度のお楽しみにしておきますね！」
今度のお楽しみ･･･
『あはは、お手柔らかにお願いします』
嬉しいような、底が知れない圧を感じるような、何とも言い難い気持ち。
最後の5着目を撮影されて、ショップを後にした。
・
「えっ！？百に送らないの！？写真！」
パスタをフォークにくるくる巻きながら瑠璃さんが大きく目を見開く。
イタリアンレストランの最奥の席を用意してくれた店員さんに感謝をしつつ、瑠璃さんとランチセットを食べていた。
私もスプーンとフォークを使ってパスタを巻きつつ頷く。
『はい』
「何で？？」
『結婚せがんでるように見えません？』
心底不思議そうな瑠璃さんに答えて、パスタを口に入れる。
瑠璃さんも同じようにパスタを口に入れた。
微妙な状態の私たち･･･百と私･･･には、そういう風に見えると思ったからだ。
これで1年前とか付き合う前とか、結婚の話が既に進んでいるとか、そういう時期なら見せただろうけど。
「え？でもそのうち結婚するって･･･」
『そういう約束はしてますけど、Re:valeとして落ち着いたらでいいかなって思ってます』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：miz | 作成日時：2021年7月3日 9時
