【アイナナ】この道の先に。 (ページ8)

今日:5 hit、昨日:19 hit、合計:158,804 hit

8 ページ8

□先輩の所に転がり込んでいるのを言い当てられ、帰りは遅いんじゃないかと言われて頷くと、コンビニの袋に気づいた和泉さんに、そんなんじゃ体に悪いと言われて寮とやらに入れられた。

【まあ、昨日の先輩の様子だと、悪い人じゃなさそうだし。】

マスクに隠れていた顔は、かわいい顔をしていた。

アレルギーとか好き嫌いを聞かれて、ないと答えると、くつろいで待ってな。と言われて、とりあえず椅子に座る。

くつろいでてと言われるも、今日初めて会った(昨日見た人だけど)人の家でくつろげるほど、神経太くない。

しかしエプロン似合う。

「ほい。どうぞ。」

『うわ･･･すごい･･･』

見るからにパラパラの炒飯。
卵とワカメのスープ。
チキン南蛮。
エビチリ。
プラス、チョレギサラダ。

コンビニで買った唐揚げ弁当が化けた。

「ありもので作っただけだぜ。」
『いやいや、簡単に出来ませんよ。こんなこと。』
「そうか？まあ食べろよ。」

『あの、和泉さんは･･･』

明らかに１人分じゃない。
お弁当以外の材料が大幅に増えてるのが丸わかり。

「先食べてな。すぐ行く。」

そう言って、キッチンの片付けを始めてる。

いただきますと手を合わせて、スープを口にした。

『おいしい･･･！』

何コレ！
何加えたの！？

いや聞いてもきっと私には出来ない。
料理スキル平均･･･と思う。

「おー。口にあって良かった。」

和泉さんを見ると、嬉しそうに笑ってる。

そういやこの人、いくつなんだろ？
初めて会った人だから敬語使ってるけど。

そんなことを考えながら箸をすすめてると、そう言えばここは寮だったなと回りを見渡す。

『他の人はいないんですか？』

「ああ、みんな仕事だなー。最近忙しくてさあ。一緒に住んでんのに会えねえんだよ。」

『それは･･･すみません･･･』
「ははっ、なんで謝るんだよ。」

『一緒に住んでるのに会えないって、寂しいんだろうなって事聞いちゃったのと、それだけ忙しいだろうに全く知らないって事実に。』

和泉さんは明るく笑って言ってくれたけど、どこか寂しそうに見えたのは否めない。

目の前に、コト･･･と置かれたオレンジの可愛いマグカップと、北欧柄のマグカップ。
北欧柄の方を渡された。

中身は湯気の立った緑茶。

『ありがとうございます。』

飲むと、これは普通のお茶だ。
体の芯から熱さが広がっていく。
でも外が寒かったから、ありがたい。