【アイナナ】この道の先に。 (ページ4)

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4　（先輩の家と出会い）ページ4

こんなに幸せそうに笑う先輩は見たことがない。
だから、大事にされてるんだと感じることが出来る。

「会ってみたいな。先輩の彼氏。」

気づけばそう口にしていた。
それが新たな始まりとも知らずに。

・

□先輩の家に着くと、驚いた。

『･･･でっか･･･』

都心のタワマン。
オートロック。
駅近ではないけど。

いくらだここの家賃。
高そう。

私、普通のそこら辺の人なんだけど。
先輩、何か怖いことしてない？
普通の人だったよね！？
なんでこんな所に住めるの！？

ビクつきながら先輩の後をついていく。

11階。

「どうぞー。」
『お邪魔します･･･』

ロッカーから取ってきた荷物を持って入る。

トイレとお風呂と、リネンは勝手に使ってと言われながら洗面台を見る。

歯ブラシとコップのセットが･･･3つ？

『先輩、だれかと暮らしてるの？』
「ううん。１人。･･･ああ、歯ブラシ？時々泊まりに来る人がいてね。一々新しいの出すのが面倒だから置いてあるの。」
『へえ･･･』

あと2人って事は、彼氏じゃないのかな？

「あと、そこの部屋は仕事部屋だから入らないでね。」

指さされたドアを見て頷く。
リビングに入ると、大きな窓が目に入った。

灯りが点いて周りを見ると、左にキッチンとテーブル、右にローテーブルと２台のソファとテレビ。
右奥にドアがあるから、部屋があるっぽい。

つか、綺麗にしてる。
私ならきっと、部屋が、ごちゃあってなる自信あるけど。

「布団持ってくるから、このソファ使って。」

先輩が言いながら、ソファを倒してベッドにした。

なるほど。
時々泊まりに来る人用。
もう１つ同じようなソファがあるから、あっちもソファベッドか。

窓の外を見ると、夜だからあまり見えないけど、見晴らしが良さそう。

『さすが11階･･･』
「んー？」

『見晴らし良さそうだね。』
「まあね。11階の割にね。」

『え！？11階って、結構高いと思うけど。』
「そう？低い方じゃない？」

開いた口が塞がらない。

いや、タワマン全体からすれば低い方かも知れんけど、11階って高いよ、普通に。

【先輩の感覚、この数年でおかしくなったんとちゃう？】

どういう生活してんのやろ。

先輩が奥の部屋から布団を持ってくる。
手伝いますって追いかけると、そこは寝室だった。

【ああ、なんかここ･･･】

めっちゃ先輩らしい部屋。

本棚には本がいっぱい並んでて、小説も漫画も画集もある。
地元の先輩の部屋と空気が同じだ。