【アイナナ】この道の先に。 (ページ23)

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「こら、万。Aで遊ばないでよ。」
「□。」
『先輩。』

大神さんの後ろから□先輩が顔を出した。
ちょっとホッとして、視界が開ける気がした。

気づけば周りにすごい人。

圧迫感がすごい。
背の高い人が多くて、ちょっと圧があって空気が苦しいな。

そっと先輩の方に行こうとすると、トントンと申し訳なさげに、私の右の二の腕を指で叩く人がいた。

「あっち行くか？」

『三月くん･･･』

指さされた方は、閉じられてる窓の外の庭だ。

「寒いかもだけど。」

『あ、ううん。行く。』

ちょっと外の空気吸いたいと思ってた。

先輩をチラリと見ると目が合って、先輩は笑って手を振ってくれる。
聞こえたのかな、三月くんと私の話。

「あー！すげえなー！ミスター下岡さんの忘年会って人多いな！」

庭にある段差に、持っていたビールを置いて、三月くんが大きく伸びをした。
と、私を振り返って笑う。

「誰が誰だか分かんねえ人ばっかで、つまんなくないか？」

『あ、まあ･･･緊張はしてたけど、千さんとか誰かしら知ってる人が構ってくれてたし、つまんなくはないよ。』

「ああ、いい人たちばっかだもんな！」

嬉しそうに笑ってる三月くん。

『三月くんは皆が好きなんだね。』
「えっ！？･･･まあ･･･そうだな･･･」

照れたような反応。
思わず笑った。

段差のビールを持って、２人で段差に座る。

「Aも□とか好きなんだろ？」

『好きだよ。先輩は時々人をからかったりするし素直じゃないこと言うけど、全部愛情の裏返しとか照れからくる人だから、かわいい。好意には好意で返してくれるし、時々厳しいこと言うけど、優しい。敵意には敵意で返すとこは怖いけど。』

素直に正直に言うと、三月くんは少し驚いた風だった。

「･･･なんか、百さんと気が合いそうだな。」
『え？』
「百さんもよく言ってる。□は可愛いって。･･･オレはあんま分からねえけど、分かる人は意外と多いんだな。」

ちょっと感心したように言ってビールを飲んでる。

『先輩のこと好きって意味なら気は合うと思うけど、三月くんだって分かるんでしょ？先輩が優しいとか。』

可愛いが分からないって言ったから、それ以外は知ってるっていう風に聞こえた。

三月くんは、んー･･･と言いながら難しい顔してる。
難しいこと言ってるつもりなかったけど？

「そう思ってるって、あいつにバレると調子に乗るから内緒な。」

三月くんが照れたように笑った。