【アイナナ】この道の先に。 (ページ20)

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どうやら、洗濯機は好みがあるだろうからと先輩に言われて断念したそう。
いや、好みあらへんけど。
って言うと、買ってきそうで怖いから黙る。

プレゼントの規模が、この人らは違うんだと、やっと認識した。

諦めてお礼を言って電話を切る。

冷蔵庫は２ドアだから、多分高くない。見たことある。
レンジもレンジ機能だけだから高くない。これも見たことある。

それにホッとして、寒いからとストーブの箱を開けた。

千さん、ありがとう。
ここ、古いから、すきま風があって寒いね。

あれ？よく見りゃ、高いやつ？
あれ？掃除機も。両方ダイ○ンやん。

･･････。

千さん、アイドルやなくてもモテそうやもんな。
やから、分からへんねん、きっと。
普通の値段っちゅうプレゼントが。

【そう思ってないと、自分がおかしくなりそう･･･】

時間指定した布団も届いて、隣と下の階の人に挨拶した。

下の階の人は女優やモデルをやってるらしいけど、売れてへんとか。
隣はイケメンで、売れてへん芸人さんらしい。

私の部屋は角部屋だけど、他には売れてきてる人もいるとか。
芸能界に興味ない人が、芸能人に囲まれてるって変なの。とか思いながら、売れてない女優兼モデルさんに銭湯へ連れてってもらった。

色んな事があってパニクってた頭も落ち着いて、おろしたての布団で寝る。

短期間だけど、先輩と住んだ時間は居心地よかったなあと思いを馳せながら、目を閉じた。

・

それから数日、特に激動の日々が始まるとか、日常が変わっていくとかも特になく、洗濯機も買って、代わり映えしない日々が過ぎていく。

年末。
というか、12月26日。夜。

激動の始まりがやってきた。
先輩の一言が始まりだった。

□忘年会行こう!

行こう？やろうじゃなくて？
そう思っていると･･･

□百も千もいるし、みっちゃんも陸もいるよ。あ、いおりんも(`･ω･´
Aいつ?時間は?
□12月26日。時間は･･･

断る理由もなくて、迎えに来てもらえることになった。

『あのさ、私、場違いちゃう･･･？』

先輩の服の袖を握って言う。
先輩の隣に立ってる百さんが、ヒョイと頭を下げて私を見た。

「平気平気！知り合いしかいないから！オレの！」
『百さん！』

「大丈夫。僕もそんなに知ってる人いないから。」
『それはそれで良いんですか･･･』

「良いよ。私と一緒にいよう。」
『先輩～！(泣)』