笑顔のキミが好き【百】 18 (ページ46)

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御堂虎於との初接触　3　～百side～ページ46

榎本さんって共演者から口説かれてたのを知った日から、ドラマに付くマネージャーに、Aが言い寄られてたら教えてと言った。

何年か前にもあったけど、ヤスの時だったし裏工作して追い払った。
さすがにセクハラが過ぎたし、そういう問題が多い人だったからだけど。

今回は言い寄ってるだけだしな。

好意云々はわかんないけど、Aがあれだけ言い切るのも珍しくはある。

【裏･･･ツクモの時点でないとは言い切れないけど、オレが誰かの差し金かと聞いた時のギクッとした表情からすると、了さん絡み･･･】

Aを口説いてどうしたいんだ？
オレへの精神的攻撃？
いや、それ位じゃならないの、分かってんだろ。

ユキもAが好きって知ってるけど、今までの事を知ってる了さんが、それ位でオレたちが動揺すると思っている訳がない。

じゃあ何だ。

Aの好みの男性のタイプは公表されてない。
雑誌のインタビューでも聞かれていない。
了さんは、大和がタイプだと思ってるかもしれないけど。

【演技が巧い、顔、お兄さんタイプ？あとは･･･】

結構色々思いつくけど、榎本さんってどれか当てはまる？
演技は巧いけど、それ以外は知らない。

現場マネージャーとAが仕事から戻ってきた。
Aが帰るフリしてトイレへ行く。

「あの、百さん、千さん。」

現場マネージャーが、ソロッとオレたちの所へ来た。

「今日、誰か分からないですけど、Aさんが誘われてる様でした。」

「へえ、榎本くん？」
「いえ。別の人です。その方は榎本さんと談笑してましたけど、Aさんも知ってる人みたいです。」

ユキの質問に答えたマネージャーは、思い出すように拳を顎にあてて言う。

「どんな人？」
「高身長で、ワイルド系のイケメンですね。身につけてるのも一流品に見えました。」

ユキと、後で聞こうということになって、おかりんが運転する車で移動した。

楽屋で聞くと、共演者じゃないし、しばらく会わないと言う。

【それって、また会うって事じゃんか！】

『大丈夫だよ。去るもの追わずだから、放っておいて。』
「そんなの分かんないでしょ！？」
『分かる。』

Aと目が合う。

『分かるよ。』

もう一度同じ事を言ったAを見て気づく。

去るもの追わず
一流品

【それって･･･】

聞こうと思ったけど、ユキがいる。
分かったと言って椅子に座った。

御堂虎於。

Aが関わるなと言った人だ。
それから後は、考える時間がなくなった。