笑顔のキミが好き【百】 18 (ページ19)

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僕らを届けよう　5　～百side～ページ19

「ユキ、ヤスが違う曲作り始めちゃったよ？」

歌詞をユキと考えてる時に、さっきまで音取りしてたAが、知らない曲を口ずさみながら紙に書いてる。
五線譜のノートだから、楽譜を書いてるんだろうなっていうのは分かる。

でも、今作ってる曲の楽譜はオレたちの手元にある。

「ああ、何かね、急に頭にフレーズが浮かんだって。モモが夕飯作ってる間、ずっと考えてるみたいだったよ。僕が何言っても曲の話以外反応なかったから。」
「えっ！？何言ったの！？」
「変な話は、してないよ。」

ジトッと疑いの目を向ける。

油断も隙もない。

【うーん、やっぱり傍にいたかった･･･】

それにしても、曲を作ってるワリに、Aが口ずさんでいるのが完成品な感じがする。

いつもユキもAも、もっと試行錯誤するのに。

ユキと歌詞を完成させてからAに見せて、Aに曲を弾いて貰いながらユキと歌った。

『うん。完成だね！あと、これも歌ってくれる？』

Aがさっきの五線譜ノートをオレたちに見せる。
ユキが少し見てから奪った。

「･･････なにこれ。」

『え？やっぱ、どっかで聴いた事あった？』

「違う。･･････ホント嫌だ。」

ユキが片手で顔を覆った。

「『何が？』」

「ヤスはいつもそうだ。突然降って湧いたようにレベルの高い曲を作る。」

「それって、凄い良い曲って事？」

「モモも聴けば分かる。いいよ、弾いて。」

ユキに促されて、Aが作曲した曲を弾く。

【わ･･･すごい･･･！】

明るくてテンポのいい曲。
ユキが今回作った曲よりも、もっとテンポがいい。

「へー。ヤスっぽくないね。でも凄い好き！！」

「モモが好きそうな曲だよね。歌詞は全部出来てないけど？」

『とりあえず聴いてもらってから決めようと思ってて･･･でも頭にある。』

【頭にある･･･？】

言い方に引っかかりを感じた。

「カップリングか･･･これにしようか。」

『みんなで歌いたいでしょ？』

「うん！じゃあこれも完成させちゃおう！」

３人で歌詞を考える･･･というより、Aが作曲したものは結局、Aが全部完成させたようなものだった。

全員で集まって、ユキが作った曲と歌を聴かせる。

全「わああああ･･･っ」

楽「いい曲じゃないですか！“Friends Day”っぽい！」

壮「素敵な歌です！昨日聴かせてもらったところから、こんな形になるなんて！」

三「早く全員で歌いたいなー！」

皆で口々に言う中、Aが言った。