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54 〜万side〜 ページ6

当然のように千が邪魔してきた。

「話って何。その手、離して。」

「百くん、千をよろしくね?」
「はいぃぃ!!」

百くんが、少し怯えてるように見えるのは気のせい。←

エントランスに入る。

「A、鍵。」

『えっ?えっ?』

戸惑ってるAの腕を離してやると、ワタワタとしたAが、鞄から鍵を出す。

『えと・・・うち、来るの?』
「そこじゃないと話せないだろ?」

Aの顔は見れなかった。

じわじわ自覚させてやろうとしていたのに、最近追い込まれているのは俺の気がする。
少しの言動に、期待してしまう。

【余裕ないな、俺・・・】

落ち着こう。
Aの家に着くまでに。

エレベーターの中で何回か深呼吸してハタと気付く。

あれ?
こんな夜にAの家?

あれ?
結構ヤバいことしてないかな?

これでヤキモチの方だと判明したら?
ヤキモチじゃなかったら?

急にザッと血の気が引いた。

「ごめん。こんな夜中に・・・」
『え?今更?』

呆れたような眼差しで俺を見るA。
さっきの、しまった、と言いたげな様子は見あたらなかった。

玄関で話して帰るからと言ったのに、この際だからとAが言う。
互いに折れない。

【何が起こるか分からない状態で、襲わないとは言い切れない・・・】

それは流石にいただけない。
千じゃないんだから。

『・・・頑固。』
「・・・どっちが。」

Aが折れて、クッションを2つ持ってきてくれた。
玄関先に座るものの、どう何を切り出すか迷う。

Aを見ると、Aも落ち着かなさそうにしている。

『あの・・・話って何。』

「あ・・・えと・・・」

どうするか。
賭に勝つなら良いけど、負けても元に戻れるかどうか・・・。

【戻そうとお互いに思うなら、戻せるか。】

ここで引くのは、チャンスをフイにしてしまう。
意を決して、Aを見た。

「A。さっきの、Aを通して紡さんを見てる様なのが嫌だってさ・・・自分を見て欲しいって事だよね?」

Aは悲しそうに眉を下げて下を向いた。

家だから明るい。
だから分かる。

Aの顔が赤い。

自分の中に芽生えた淡い確信を、現実だと思いたくて、Aの両肩に手を置いた。

Aはビクッとして強ばってる。

【・・・怖いのか。】

そりゃそうだ。
相手の気持ちが分からなきゃ、隠したい自分の気持ちがバレるのは怖い。
俺もそうだ。

「それって、俺にって、自惚れて良い?」

少し緊張しながら、言った。

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作者名:miz | 作成日時:2019年7月28日 8時

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