笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ39)

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万に言われた。

“縛られずに、Aの人生を、Aだけのために過ごして欲しいと思うよ。”

そんなの難しい。
変えたいと思う未来はある。
でも、変えたくない未来もある。

みんな、乗り越えて強くなっていくから。
傷の深さを長引かせないように。
少しでも軽くなれるように。

Re:valeを守れるように。

“難しいと思うなら、俺が一緒に考えるよ。乗り越えよう。”

こんな難題、どうすればいいの。
万だって守りたい人なのに。

『これから色々あるのに、気にしないことなんて出来ないよ･･･』

そう言うと、万は穏やかに私に聞いてくれた。

「成長する気はあるんだよね？」

成長したくないわけじゃない。
だから頷く。

だけど、その先に記憶がなくなっていく事があれば、怖い。
記憶がなくなれば、1から考えてツクモたちと戦わなければいけないかもしれない。
それはリスクがでかい。
頭の中にある方がいいに決まってる。

万は、1週間に１回日記帳を確認して、そのたびに何が怖いのか、それを解消する方法を一緒に考えようと言ってくれた。

万は、きっといっぱい考えてくれてるんだ。
その上で言ってくれてる。

ギュッと左腕を触った。

【あの時のように、救いたいものが救えなかったらどうしよう･･･】

万のケガ。
IDOLiSH7のデビュー曲。

それがあるから今があるけど。

「A。」

フワッと万の匂いがして、抱きしめられる。

「言っただろ。Aがイレギュラーなんだから変わる。変わらないものがあっても、少しずつ変わっていくんだよ。Aは既に関わっているんだから、変わっていくんだ。」

万を見ると、優しく微笑んでくれる。

「大丈夫だよ。俺はAの傍にいるし、Aも今を、この世界の、この時代を一緒に生きてる。だれもお前の傍からいなくなったりしないよ。みんな、Aが好きだしさ。Aもみんなが好きだろ？」

『･･････うん。』

万の手が、私の頬と耳に触れて、ビクッとした。
万の目が見開かれた後、フッと笑って私の髪の毛を耳にかける。

「じゃあ、乗り越えられるよ。」

そう言って、顔を寄せる。

『･･･うん。』

そっと目を閉じた。

【久しぶり･･･】

ドキドキする。
でもパニックにはならない。

しばらく会ってなかったし、付き合ってるのかどうか不安になったり、でも考えてる余裕もないくらい忙しかったりの毎日だったけど。

フッと唇が離れると、もう1度おりてくる万の唇。