笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ32)

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「でも･･･」

「ごめんね。ちょっと最近忙しくて疲れてるだけだよ。でもパーティも立派なお仕事だから、頑張って来て下さい。」

紡さんに言って笑った。

そのパーティの後、思わぬ形で、Aと会えることになるとは思っていなかった。

・

その日、俺は仕事だった。

もうそろそろ一区切りがつくなと思った時に、電話が鳴った。

百くんだ。
珍しい。

「はい。大神です。百くん？どうしたの？」

･･･「バンさん、今電話しても大丈夫ですか？」

「うん。いいよ。」

百くんの声色が緊張している風なのはいつもの事だ。
もっとフランクにしてほしいなといつも思ってるし、会う度に言ってるけど、とんでもありません！！と真っ青になったり真っ赤になったりする百くんを見ると、少しだけ寂しい気持ちになる。

もうあの頃の俺ではないのに。

百くんの優しさだと思えば、幾分かマシだと今では思っているけど。

･･･「あの、Aの事なんですけど･･･」

瞬間にドキッとした。
遂に付き合っていることがバレたかと思った。
でもしばらく会ってない所か、電話すらもしてないし、ラビチャに至っては業務連絡。
疑う要素はないはず。

「うん。どうしたの？」

なるべく平静を装って返した。
一瞬の沈黙の後、百くんの言葉に俺は凍りついた。

･･･「バンさんは、Aが占い出来る理由って何か分かりますか？Aが言ったんです。ユキがAに、危ない事してないか聞いたら、バンさんも同じ事言ったって。」

「･･････何でそんな話に？」

･･･「！やっぱり知ってるんですね？これからAの家で食事しませんか？」

まずい。
百くんは頭がいい子だ。
勘もいい。

【記憶がある風な事を匂わせてしまってるのに、Aは気づいてないのか･･･】

千や大和くんが占いだと思っているのがアダになったか。

チラッと仕事の残りを見る。
今日の分以外もあるけど、今日の分だけなら、そんなに時間はかからない。

「分かった。行くよ。」

そう答えて、後でと言って電話を切った。

デスクの鍵付きの引き出しからファイルを取り出して鞄にしまう。

今日の分を終えて事務所を出た。
車をマンションの近くの駐車場に停めた後、Aに電話しながら歩く。

「百くん、もう来てる？」

･･･『来てない。』

「俺、仕事切り上げたから。もう着く。」

ザカザカ歩いて、Aのマンションを見上げた。

告白した時以来のAの家。
しばらく会ってないA。