笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ23)

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保冷バッグの中は想像通りお弁当だった。

落ち着かない心臓のまま、ウェットティッシュで手を拭いて割り箸を渡される。

「えーと･･･ダメだった？」
『へ！？』

「･･･キス。誰も見てなさそうだったし、したくなっちゃったんだけど･･･」

『う･･･あ･･･えと･･･』

かああっと更に顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。

ああ、恥ずかしくて泣きそう。

『だ･･･ダメ･･･じゃ、ないけど･･･は、恥ずかしい･･･』

もう、顔から湯気出てないかな？
心臓保つかな？

【ドキドキしすぎて心臓痛い･･･】

「そうか。なら良かった。」

顔を上げると、万がホッとしたように微笑んでいる。
キュンと自分の心の奥が鳴った気がした。

「材料あまりなかったけど、簡単に作ってきたんだ。食べるか？」

『うん、いただきます！』

サンドイッチと簡単なおかず。
十分美味しい。

『美味しい！』

卵にハムとチーズ、BLTっぽいの。
コロッケサンドとか、種類豊富。
唐揚げにミニトマト。

『あれ？このコロッケサンド、旅館の？』

いつも万が作ってるのとは味が違う。

「そうそう。唐揚げも。さすがに揚げ物は出来なかった。」

ごめんね、と万が言う。

『謝らなくても。今日は万が任せてって言ったから、全部任せちゃったし。むしろ作ってくれてありがとね？』

「あー、まぁな。喜んでくれて良かったよ。本当はどこか行くはずだったんだろ？むしろ、空いてたらどっか行こうって、Aに言われたから驚いた。」

『え？どこか行くはずだった？私が？』

「千が言ってた。Aは１人でどこか行くらしくて、また振られたって。」

ああ。
一緒に寝ようだとかデートだとか言ってたな。
百と千。

『違うよ。万が本番に来るのは分かってたし、次の日オフだって分かってたから、もし万が空いてたらいいなって思って。』

「え？記憶で？」
『うん。』

「そっか。･･･なんだ、そうか。いいのかなって心配してた。」

『聞けば良かったのに。』

言うと、万が、うーんと言いながらお茶を飲む。

「折角誘ってくれたのに、水を差すような気もしたし、俺がAと一緒にいたかったから言いたくなかった。･･･ズルいよね？」

万が気まずそうに笑う。

【一緒にいたかった･･･】

うーん、ストレート。
照れる。

あれだよね、アイナナの人たちってストレートな人が多いよね。
照れながらもストレートな人が多い。
ツンデレ軍も。

比較的、素直な人が多いからかな。