笑顔のキミが好き【if･･･大神万理】2 (ページ20)

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俺が自惚れて良いか聞いた後、驚いたように顔を上げたAが、俺を見て真っ赤になるのを見ると、抑えてきた感情が溢れ出した。

好きだと、心で思う前に体が動く。
顔を近づけると目の前にAの両手があって、避けてから唇を重ねた。

柔らかい。
･･････舌、入れるとどんな顔するんだろ･･･

見たい。
止まらない。

やっと
やっと手に入れた。

薄目を開けて、舌でAの口を開こうとした時、ポロポロ泣いてるAに驚いて止めた。

【え？･･･え？】

無理矢理だった！？
しちゃ駄目だった？
嫌だった？

まずい。
そういや、初心者だった･･･

「え？何で泣いてるの？」

『･･･万って残酷。』
「何で？」

『好意を寄せられてると分かったら、好きでもない女に、こういう事するの？』

【･･･は？】

いや、しないよね、普通。
っていうか、伝わってないのか。
なんだ。
良かった。

ホッとすると笑いがこみ上げてきた。
ちゃんと告白して、お互いに好きになった時期を話す。
言いたいことを話し合って、付き合うことになった。

【役不足とか、気にしなくていいのに。】

気にして欲しいのは、簡単に男と泊まるな、危機感を持てって事だ。

Aのマンションを見上げた。

さすがに付き合うことになって、泊まっていけばと言われて、襲わない自信はない。
付き合っていなくて、ただ家に来ただけの時も寝てるAを起こすだけの時だって、何度理性を崩されそうになったか。

【むしろ1回襲って、自覚を持たせ･･･俺が無理か。】

怖いと泣かれるのは遠慮したい。

「でもなー･･･千に奪われてるんだよね･･･」

Aのファーストキス。
仕事とはいえ。

しかもあの顔。
千に襲われそうになった事に覚えがある風だった。

･･･少しずつ、少しずつ。

俺の恋愛のスピードよりもきっと、Aの恋愛のスピードの方が遅いだろう。
会える日も、そんなに多い方ではない。
ゆっくり歩幅を合わせて、時々駆け寄って貰ったり、追いかけ合ったり。

一般人と芸能人という垣根はあるけれど。
きっと、1番自然に出来るだろう。

あの頃の俺たちのように。

【千に言うか？でもきっとあいつは、Aに対する態度は変えないだろうな･･･】

むしろ“万なんてやめて僕にしなよ”と言い寄りそう。
風呂上がりに、ラビチャをしようとした手を止めてスマホを置いた。
また持ち直す。

【Aに打とう。】

こちらこそ、と返信があってお休みスタンプを送り合った。