歌詞の問題（NO DOUBT） ページ7
「どうしてここで、黙るんだ。言いたい事があるなら言えよ。」
「まあまあ･･･ユキ、落ち着いて。ね？」
・
楽屋で仮歌を作っていた。
百と千が歌詞を考えていて、私も見ていた。
百は、私が千の曲に口出ししない理由を知ってるから何も言わない。
ただ千は、そうもいかない。
「ヤス、映画に因んで作るんだから意見ない？」
取りあえず千の役の立場と、ヤマさんの役の立場からの視点で歌詞を作る事は決定した。
じゃあ２人の感情を掘り下げようという話になった。
そこでの私への質問。
【なんて難しい事を･･･】
『えと･･･MV構成案からすると、百が犯罪者なんだから、そこを百が歌うとか？』
「まだそこまでの話になってないけど･･･じゃあ交互に思いが合うように歌詞を作るって事か。じゃあサビは？」
『千と百はどう考えてるの？』
「言葉はまだ、あてはめてないけど･･･」
と言いながら千が曲を口ずさむ。
片方が歌ってる時に片方がバックで呟くように歌う仕様になってない。
「どう？」
どうって･･･どう言えばいいの。
答えを言ってはダメなんだ。
千と百が作らないと意味がない。
千がここまで苦しんで苦しんで、やっと生まれた曲なのに。
「何か言いたそうだけど？どうしたの。」
百と視線が合う。
ハラハラしてるのが見て取れる。
・
ここで冒頭に戻るわけなんだけど。
「そうだ！ヤス、ユキの役の立ち位置からしてどんな気持ちだと思う？」
『え？』
それならＭissionの台本読んでるから分かる。
『えと･･･犯人の事を知ってるからこそ、辛いけど救いたい？』
「じゃあ犯人は？」
『助けて欲しい。ずっと愛を求めているのに愛されないと思っているのが苦しくて、でもずっと葛藤してる。結果的に自分を救うのは、犯罪心理分析官だと、なんとなく分かってる。密かに想ってる人を知ればいいのにとは思うよね。でも同じ事が繰り返されないとは限らない。･･････だって、ずっと心の中で孤独だったんだから。』
【本当に･･･まるでヤマさんみたいだ。】
百は、私とヤマさんが似てるって言ってた。
でも違うかな。
私には記憶を相談出来る万がいた。
そして、百がいる。
百と目が合うと、百はニコッと笑ってから千の方へ向いた。
「ユキ、さっきヤスが言ったのって歌詞に落としこめる？」
「･･･うん。やる。僕の役は、僕が一番分かるからね。ありがとう、ヤス。」
『百のお陰だよ。』
本当に百には敵わないな、と思って笑った。
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作者名：miz | 作成日時：2019年6月4日 7時
