笑顔のキミが好き【百】 15 (ページ43)

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5人で会食　6 ページ43

食事も終わって、志津雄さんと朝宮さんを店先まで送る為に歩いてる時に、朝宮さんが私に話しかけてきた。

「百くんに言われたんだけど、あなたは自分で思ったことを隠すのが上手じゃなくて、だから時々辛口になるんだって。もう少し世渡り上手にならないと、この業界じゃ生きていけないわよ。少なくとも、Aさん程位には。」

私がAなんだけど･･･と思って、苦笑いした。

『Aは世渡り上手ですか？』

「話に聞く分には。朝倉が言うには、人の好みを把握するのは上手で努力家で愛想もいいから生きていける。でも時々壁を感じるそうよ。貴方には、そう映らない？」

【難しいな･･･】

世間や芸能界で言われるイメージを合わせて、言うことを考える。

『彼女は、愛想がいいのは分かります。すぐ顔に出るけど、誘いはなるべく断らない。相手を尊重して、でも絶対に深いつきあいをしようとしない。それが壁だと感じる理由かと思います･･･というより･･･』
「と言うより･･･？」

『自分の顔に、コンプレックスがあるから。だから、時々自分を下に見ちゃう所があるんです。』

言ってハッとした。
自分の気持ち話しちゃ駄目だわ。

『ああ、えと。そう見えますって事です。』

「まあ、貴方と一緒ならコンプレックスもあるでしょうけど。･･･ああ、でもね。」

『はい。』

「貴方の、色々な人のことまで考えられる姿勢、良かったわ。正直、そこまで考えていなくて、ハッとさせられた。ありがとう。大事な事を教えてくれて。」

『いえ、そんな･･･責めるように言ってしまって、こちらこそ、申し訳ありませんでした。』

謝って朝宮さんを見ると、驚いたような顔をしている。

「ふふ、やっぱりさっきの、生きていけないって前言撤回するわね。」
『･･･え？』

「その謙虚さも仕事で出てるなら、問題はなさそうって事よ。人によるでしょうけど、少なくとも気に入ったわ。あなたの正義感。」

どう答えて良いのか分からなくて、戸惑いながら見送った。

店先で百が座り込む。

「ハラハラした･･･ヤスが朝宮さん、責めようとするから･･･」

『ごめん･･･』

店の中に戻って帰り支度をする。

「罰として、ここの会計はオレとユキでします！」

「そうね。」

『それ、普通、罰じゃない･･･』

「ヤスにとっちゃ十分な罰でしょ！どうせ３人で出すとか思ってたんでしょ！」

『う･･･ご馳走さまです･･･』

“嬉しそうに言って”と言われてしまった。