あの夏の日 〜千side〜 ページ15
だいぶ首の跡は消えてきたけど、コンシーラーが切れて出来なかった。
撮影の日、スタッフに隠してくれるように頼む。
【気がつくと声が出なくなってるし、気がつくと首を締められてるから、人生って難しいよね･･･】
大和くんがスマホと睨めっこしてる。
流石にそろそろ帰ってくれないと、家にAもモモも来てくれないじゃないか、とも思う。
「あの夏の日みたいに、今日は暑いな･･･」
【あの夏の日？何回か言いかけてた言葉か。】
聞くと、スマホをしまって、僕が洗車に行った日だと言う。
そんなの多くてどの日だか分からない。
覚えてるか聞かれて、薄っすらと答える。
･････どの日か分からない。
「一緒に住んでる相方に肉が買えるんだよって。でも、Aはお小遣いいらないって言っちゃったんだって。」
まあ、貧乏だった頃なのは確かだろうね。
その頃しか洗車してなかったから。
大和くんは自分の葛藤や気持ちを話してくれた。
ホッとする。
【なんだ。ちゃんと向き合おうとしてるじゃない。】
「やっと、素直に言えたね。スマホ出して。」
「･･･え･･･？」
「メンバーに電話しな。」
「･･･今？ここでですか？」
「そうだよ。タイミングが大事でしょう。」
迷っている大和くんに、優しく言う。
「勇気が必要だったろ。頑張ったね。」
「･･･千さん･･･」
「その思いが届かない子たちじゃないよ。みんな、君の帰りを待ってる。安心させてあげな。電話して、明日帰るって言いなさい。それだけでいいから。」
大和くんが、ギュッとスマホを握って、震えている。
「･･･緊張する･･･」
「大丈夫。」
大和くんが電話をするのを見守った。
ずっと震えている。
三月くんに電話している。
声も震えてる。
そろそろ帰ってくれないとって思ってたけど、こういうの見ると、優しい気持ちになるな。
帰って寂しいとかは全く思わないけど。
まるで子供の成長見てる気分。
志津雄さんには、敷居跨ぐなって言われたけど、親戚の子供みたい。
【自分の子供にも、そう思うんだろうか･･･】
Aを想う。
僕とAの子供なら、可愛いに決まってる。
問題はプロポーズ。
モモに言われて検索したけど、Aは、ベタなのがいいと思ってるような気がしないし、事務所の問題もある。
【聞いたら怒られそうだし･･･難しい･･･】
小さくため息をついて、電話し終わった大和くんの肩にポンポンと手を置き、頑張ってと言って持ち場に戻った。
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ミズ ミズ(プロフ) - 伊織露維さん» いつもありがとうございます！気分はずっと書いていたいんですけど、体と時間は思うようにいきませんね(笑)でもお気遣いありがとうございます＾＾気をつけながら頑張ります！ (2019年8月5日 8時) (
レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
伊織露維(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです。更新を何より楽しみにしています。お疲れの出ませんように…。 (2019年8月5日 1時) (レス) id: 2aaf981a59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miz | 作成日時：2019年5月31日 8時
