取引 〜百side〜 ページ16
仕事帰りにAにラビチャしてから事務所に一旦戻った。
トイレに行って、おかりんにスマホを預かって貰うために戻るとユキがいた。
「ユキ来てたの？早かったね。お疲れ様ー！」
あれ？疲れてる？
「元気ない？」
聞くと、ユキが川としたらどうするかの話をされて答えると、少し元気になったっぽい。
良かった。
「じゃあおかりん、これ預かっといて！」
「モモはどこに行くの。」
「友達の家で焼き肉食べる！やばい話っぽかったら後でユキにも相談するね。」
いうとユキが慌てた顔をした。
「やばい話があるような所行かないでしょ。おかりんにあのスマホ渡したって事は月雲の所？Aだけじゃなくて僕も彼の事あまり好きじゃないよ。」
「オレもだけど、好き嫌いしてたら世界平和が成り立たないでしょ？ユキの好きなラブ&ピースのためだよ！Aとバンさんの食事に付き合ったら？遠慮しなくていいよ。」
「来るなって言われたのに？」
「あ、そうだった。じゃあ行ってきます！」
事務所を後にして了さんの家へ向かう。
【Aは、記憶が消えてる話をバンさんに言うのかな？】
オレだけじゃ、駄目なのかな･･･
いやいや、違う違う。
だって、大好きって想い合ってると思う。
そういう事じゃないんだ。
Aにとっては、自分が何かというのを揺るがすかも知れないレベルかも知れない。
怖いって泣いてた。
記憶が消えたら怖いって。
そりゃ、オレがAの立場でも怖い。
抱きしめる事しか出来なかった。
他に何が出来る？
･･･もっと考えよう。
【絶対、守る。】
それが、Aのためになるなら。
電車を降りると、柏餅が売ってる。
時間も遅くなってきたから安売りしてるんだ。
そういや手土産ないな。
これでいいか、と買って了さんの家に行った。
インターホンを押して家に着くと、柏餅を渡した。
「･･･了さん、高層マンションに住んでそうなのに階数低いよな。高いところ怖いの？」
「高層マンションに住んでいると、ベランダからペットを投げられないんだ。死んでしまうからね。」
うわ、最悪。
「あんた、マジで冗談も悪趣味だな･･･。この高さだって投げたら危ないよ。オレは動物好きだから笑えない。」
「もちろん、僕も笑わなかった。さて、どの部分の肉から食べる？先に乾杯する？」
「悪いけど長居はしない。」
この後、Aと会うんだ。
あまり遅くならない方が良い。
･･･Aの家に泊まってもいいけど。
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作者名：miz | 作成日時：2019年5月16日 5時
