笑顔のキミが好き【if･･････二階堂大和】3 (ページ8)

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付き合う前からヤマさんは、女の子の扱いに慣れてる。

知らないうちに食事のお金を払っちゃってるし、人の表情を読むのもうまい。

神社に行くのに、電車やバスで空いてる席にもレディーファーストだし、車道を必ず歩いてくれて、階段を登るときは私の後ろ。降りるときは私の前。

･･･どの女の子にも、こういう事してんのかな？

やだな･･･。

･･･でも、百もそういう人だ。
小鳥遊家まで送ってくれた時とか、ずっとそうだった。

ただ百と違うのは、席を譲るとき、百は明るくどうぞって言う。
ヤマさんは、さりげなく立つ。
お礼を言われるが照れるから。

私がレディーファーストをするって他に知ってるのは、天と万。
みっちゃんも一織も、ここまではしないし、千に至っては問題外。

千は、レディーファーストじゃなくて、私と百ファーストだ。
そして性格的に守って貰う側。

他の人は、そもそもこういう風に一緒に歩くこともほぼない。

でもヤマさんは時々詰めが甘い。
でもそういう所は、ちょっとかわいい。
かわいいって言われるの嫌みたいだけど。

詰めが甘くないのは天と万。
あの２人は隙がない。

色んな事に対して徹底してるのは２人の共通点だ。

「どうした？」

案の定、ヤマさんにお会計を払われてしまって外に出ると、聞かれた。

『ヤマさん、女の子の扱いに慣れてるのが嫌だ。』

「は？･･･そうか？普通だろ。」

『普通じゃないよ。百と万と天位だよ。モテるはずだよ。誰にでもやるんでしょ？』

【あ。】

思わず感情に任せて言っちゃった。

ヤマさんが目を丸くしてる。
しばらくしてヤマさんが笑った。

「ヤキモチ？」

『違うもん！』

「顔は素直だな？」

『違うってば！』

ヤマさんが私の手を取って歩く。

『変装してても手は･･･っ』

建物と建物の間に入ると手を離された。

「結構Aには見破られてるから、格好つかなかった事いっぱいあんだけど。」

『それとこれとは別･･･っ』

ヤマさんの唇がおりてくる。
軽く触れて離された。

「俺、Aしかいねえよ？それでも不安？」

『･･･ズルい。不安なんじゃない。他の子にもやるんだって思ったら嫌って思ったの。』

「ヤキモチだろ。」

『･･･うるさいな。』

「･･･ツアー中に2周年だな。遅くなるけど、終わったらAの家で祝おうか。」

顔を上げてヤマさんを見ると、ちょっと照れてる顔。

『うん。帰ったらね。』

笑って答えると、ヤマさんも嬉しそうに笑ってくれた。