笑顔のキミが好き【if･･････二階堂大和】3 (ページ30)

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コンサートの日、皆がステージ袖に行く中、俺は１人楽屋で役について考えていた。

Aが言う、力が無駄に入らない、いつもの俺が分からなくなっていた。
監督やAが言った事、本にあった事が頭をよぎる。

“父さん、全部あなたのせいだ。”

このセリフの感情ののせ方が分からない。

【あの家であいつらが話してた事が役に立つなんてな･･･。】

「恋人を殺して保存する理由は。」

･･･別れが怖かった。だけど本当の自分を知ったら愛されるはずがない。
死体の前でだけは、弱い自分をさらけ出せる。

【受け入れてくれると思っていない。･･･Aじゃ対象にならない。･･･あいつらか。】

醜悪な正体を知って変わらず慕ってくる奴なんていない。
俺も恨まれるだろう、あいつらに。

【本当に？】

Aが受け入れてくれているお陰か、あいつらに受け入れてくれないかもと思い切れてない部分がある。
ただ世間はそう思わない。

【でも復讐の為に芸能界に入ったなんて、受け入れるのは、Aくらいじゃないか？】

あいつが俺の事を好きじゃなくても受け入れてくれただろうか。
千さんは知ってる。

受け入れてくれたかもしれない。
あいつは変わってるし。

【いや、その事を考えてる場合じゃない。】

どうすれば観客がつられるような感情が出る？

死体コレクター･･･
死体の前でだけは弱い自分･･･

Aの前でだけは弱い自分･･･
でも、役は愛情じゃない･･･

愛されたいからこそ、愛されなくなる事が壮絶な恐怖になる。
愛されるからこそ分からない部分が出てくる･･･

【だめだな･･･ちょっと、Aには悪いけど･･･】

スマホを出してAにラビチャした。
大和悪いんだけど、役を掴めるまで距離おいていいか。

今は仕事中だろう。
これで、イエスでもノーでも、Aが遠のくことによって愛されなくなる恐怖が実感出来るかも知れない。
IDOLiSH7のメンバーだけじゃ、今の俺には弱い。

「父さん、全部あなたのせいだ。」

出来るか？
･･･いや、俺がやらないと。
成功させないと。

「あなたのせいだ。」

役の感情になりきる･･･。

楽屋のドアが開いて、ナギが呼びに来た。
ステージに立つ時間だ。

戻ると、さっきの自分のラビチャをすぐに後悔した。

A勝手にしたら。

当たり前だけど。
当たり前なのかも知れないんだけど。

【すんげー怒ってる･･････と思う。】