笑顔のキミが好き【if･･････二階堂大和】3 (ページ24)

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帰ると、仕事には間に合うものの未成年組も起きていたため、ミツにこってり絞られた。

一「行ってきます！」

イチとリクがバタバタしながら仕事へ行く。

パーティーの次の日のようなピリピリした雰囲気まではなく。

「じゃ、俺も行ってきます。」

寮を出た。

・

「カット！うーん･･･10分休憩ね。」

監督の声に、緊張感が緩む。

「二階堂くん、ちょっと。」

監督に呼ばれて行くと、俺の演技がイメージと違うらしい。
何回かやってみるけど違うらしく、謝られる。

【どんな感じなんだ？】

「胸を叩くわかりやすい衝撃じゃなくて、心の内側からしみ出すような余韻を観客に与えたいんだよね。作品の深みや役の説得力を出すために、ここでは名人職人の技術は捨てて、アーティストになってくれないかな。例えば志津雄さんの･･･あ･･･」

「･･･いいですよ。千葉さんの？」

「志津雄さんの“三日月狼”の芝居だ。」

監督は、三日月狼の演技の素晴らしさを説く。
浪人の感情が観客の感情になったようなのを見せてほしいと言われた。

「･･･分かりました。やってみます。」

･･･とは言ったものの、分からない。

【職人的？芸術家？胸を叩くんじゃなくて、心からにじみ出るような･･･？】

「･･･よく分かんねえな･･･。そろそろ俺もちゃんと勉強しねえと駄目だな。･･･もう1度、監督に聞いてみるか？」

【いや･･････どうせあの男と比べられるだけだ。】

ちらりと監督の方を見ると、近くにAがいるのが見えた。
ホッとして足を向けようとすると後ろから呼び止められた。

「二階堂さん。」

「あ･･･。」

誰だっけ？
Aが言ってたな。
ミナとか何とか。
あいつ、愛称で呼ぶ奴多くて、正しい名前分かんねぇじゃねぇか。
･･･俺が覚えてないのが問題か。

「二階堂さんに惨殺された女性の婚約者役の棗巳波です。随分監督に捕まってましたね。」

「ああ、俺の理解が悪くてさ。」

「監督の期待が大きいんですよ。なんと言っても日本を代表する名優の息子さんですから。」

こういう所でズバズバ言う奴がいるのか。

「あんたも知ってるのか･･･。」

「僕の事務所は星影ですから。それを差し引いても今は知らない人の方が少ないと思いますよ。」

知らない人の方が少ない？

背筋がヒヤリとした気がした。

「でも変な形で、週刊誌に抜かれないといいですねぇ。愛妻家で通っている志津雄さんは勿論のこと、IDOLiSH7もイメージダウンでしょう？」