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事務所の片隅にある一室で
いつものごとく
世界中から寄せられたファンレターを翻訳して
プリントアウトしたら
それらをメンバーごとにまとめる。
『お腹空いた…。』
『喉も乾いたな…。』
『私もタピオカ飲みたかったなぁ〜』
思わず口から出た、一人言…。
さすがに今日は疲れちゃった。
ちょっとぐらい休憩しちゃおうかな…?
……いや、ダメだ、絶対にダメ!
休憩してるとこなんて見られたら "サボってる" だのなんだのって文句言われるに違いないもの。
よしっ、ちゃっちゃと片付けて今日は早く帰ろう!
気を引き締めてPC画面に再び視線を戻すと
「はい、コレどうぞ。」の声と同時に
ペットボトルを掴んだ大きな手が目の前に現れた。
「タピオカじゃなくてごめんね? 笑 」
『っ…、イ、さん!!』
もしかしてさっきの全部聞かれてた…とか、
じゃなくて間違いなく聞こえてたよね?
『あ、ありがとうございます…。』
なんか、すっごく恥ずかしい…。
「はい、どうぞ。笑 」
イさんはここの社員さんでマネージャー補佐の仕事をしてる。
忙しいのにこんな私にでさえ気を配ってくれて
時々こうしてちょっとした差し入れなんかもしてくれる、優しい人。
『…いただきます。』
……あ、美味しい。笑
「さっきはごめんね?」
ごめんね、って…なにが?
『な、なんでイさんが謝るんですか…?』
「だってAちゃん、また意地悪されてたでしょ」
……意地悪?
あぁ、そっか。
さっきのも見られてたんだ…。
だからコレ、くれたのかな?
ほんと、イさんは優しいな…。
……って、もしかしたら、
今までもそうだったの…?
私が落ち込んでるたびに
こうやって差し入れしてくれてた、とか。
……んなわけない、か。笑
でも嬉しいな。
ちゃんと見ててくれる人がいるって
なんか心強い。
毎日毎日邪険に扱わられて
まるでストレス発散するかのように
怒鳴り散らされて
そんな毎日に、ほんとは嫌気がさしてた…。
それでもバイト代はしっかり貰ってるから…って
我慢してた。
我慢して我慢して……
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作者名:はな x他1人 | 作成日時:2019年11月19日 19時