ユンギのお気に入り (ページ37)

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『えっ、私がですか…？』

「うん、だって語学堪能なんでしょ？」

『……や、そんな、そこまでってわけじゃ』

たしかに大学は国際文学部だけど、

「それにご指名だし？」

『指名？』

ある日、突如として私に舞い込んできた

…またもや翻訳の仕事。

ここは、世界にマーケティングを手掛ける会社でもあるから各国の言語に詳しいスタッフが何十人と在籍している。

なのに

なぜバイトの私なんかに白羽の矢が立ったのか…

聞けば防弾少年団のあるメンバーからの直々のオファーらしいけど

いったい誰なんだろう？

「行けば分かるから」

『……えっ？』

「ほら、急げ急げ」

『…は、はいっ！』

追いやられるように急かされて

辿り着いた場所は…

防弾少年団のメンバーがいるフロア。

見覚えある通路を塞ぐ扉の先には

真っ白な空間…。

その途中で目に付いたのは、あのラグマット。

でも今日はここにようはないんだよね…。

元気かな…そんなことを思いつつ

" go away " と記された通り

歩みを止めることなく、そのまま通り過ぎた。

『ここ…で、いいんだよね…。』

少しだけ迷ったけど、無事に辿り着いた。

時間も約束の時間より少し早い。

でも、いったい誰なんだろう…。

一面曇りガラスの扉をゆっくりと開けば

そこで私を待ち受けていたのは…

「Aちゃーん！久しぶり。笑」

にしししし、と得意げに笑う

テヒョンさん、だった…。