ユンギのお気に入り (ページ28)

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"「こっちは構わないけど、大丈夫なの？」"

"『はい、ご迷惑でなければ』"

イさんとの約束の時間は午後からだったんだけど

なんだか朝からそわそわしちゃって

よく考えたら単位には余裕あるし

大学に行くよりも

早くスタジオに行きたくて

ダメもとでイさんに連絡したら

"「じゃあ、おいで」" って言ってくれて

急いで支度して午前中から出勤することにした。

『宜しく、お願いします』

「これからスタジオのアシスタントをしてもらうAちゃんです。僕からも宜しくお願いします」

各スタジオをイさんと一緒に

作曲家、編曲家、エンジニアの皆さんに挨拶回り。

私の新しいバイトは

アシスタントと言っても

雑用ってのに変わりはないし

直接楽曲に携わることもない。

" 「がっかりさせて悪いんだけど…」"って、

イさんは申し訳なさそうに話してくれたけど

実際に目で見るのと見ないのとじゃ全然違うし

エンジニアとしての仕事を

間近で見られるだけで

今の私にとっては貴重なこと。

それだけで十分に、嬉しい。

思いの外やることもたくさんあるし

おかげでメモがぎっしりだ。

『けっこう大変なんですね』

「そんなに焦らなくても大丈夫だよ。笑」

『はい…。』

イさんはそう言ってくれたけど

念願だったスタジオでの仕事だもん、

早く覚えて、役に立ちたい。

それが私にできる

イさんへの恩返しだと思うから…。