21 過呼吸表現注意 ページ24
Side Severus
『……！！！…はぁっ、はっ、…せ、ぶ…ｹﾎｯ』
うなされている時からはくはくと苦しそうに浅い息を繰り返してはいたが。
一体彼女は何を見たのだろうか。
セ「A。こっちを見ろ。焦るな、ゆっくり息を吐け」
少しだけ上体を起こさせると背中をさする。
彼女の目からは生理的か感情的か、目からぼろぼろと涙が落ちていく。
『い…ﾋｭｯ、っ、はっ、はぁっ、…た、す…ｹﾎｯｹﾞﾎｯけて…ﾋｭｯ、っ、せぶ…ｹﾎｯ』
だんだんと焦点があわなくなるAの目に、まずいと本能が訴える。
セ「戻ってこい。ここには私とAしかいない。大丈夫だ。これ以上自分を傷つけるな。｣
ゆっくりと手を握り、怖がらないようになるべく優しい声を出す。
セ｢ゆっくり吐け。…そうだ。そのまま。｣
『せ、ぶ…はっ、はぁっ、ごめ、ﾋｭｯ…ｹﾎｯｹﾞﾎｯごめんなさっ、…はっ、はぁっ』
セ｢謝るな｣
背中をさすって目を合わせてやれば段々と焦点があってきた。
『せ、…ｹﾎｯｹﾞﾎｯ…ん、はぁっ、はっ』
セ「無理に喋るな。今は呼吸を落ちつけることだけ考えろ。｣
段々と悲痛な呼吸音が小さくなり、Aも落ち着いてきたのか、力が抜けて私に前体重をほぼ預ける形になった。
杖を振り、寝室の入り口に置いた水を呼び寄せる。
セ「飲めるか？」
コップを差し出すとまだ少し震える手で受け取りゆっくりと飲んだ。
セ「…嫌なら答えなくても良い。何を見た？」
『少し、昔…の、夢を』
セ「…そうか」
何故だろうか。まだ整っていない息遣いで答えた彼女は、いつも以上に幼く、そして今にも消えてしまいそうな儚さを感じた。
『ご迷惑おかけしました』
薬も飲み、普段通りに戻ったAは開口一番謝罪の言葉を述べた。
セ「今年のうちに私に幾つ借りを作るつもりだ」
『いつかまとめて返済しますよ』
そう言ったAはふっと笑って私の顔を見あげた。
──美しい。廊下ですれ違った誰かが、Aそう表現しているのを思い出した。
きっとそいつは知らないんだろう。Aが私を揶揄うときの憎たらしい笑みも、仕草も。
私だけが知っている。
『…？なんで笑ってるんです？』
セ「薬を飲んだらとっとと出ていけ」
短くそう告げるとルツは大人しく従った。
…私だけが知っている、か。
それも中々悪くはない。
そう思いつつ、彼女が空にしたコップを片付けた。
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報われないオタク(プロフ) - 更新ありがとうございます！これからも読ませていただきます！ (2024年6月4日 20時) (
レス) @page17 id: bfad9423e5 (このIDを非表示/違反報告)
Efu - めちゃめちゃ面白かったです！更新待ってます！！ (2024年5月19日 0時) (レス) @page16 id: f9371b11cf (このIDを非表示/違反報告)
もちち - 更新待ってました〜！これからも作者様のペースで更新頑張ってください^_^ (2024年1月14日 0時) (レス) id: a43e505b1d (このIDを非表示/違反報告)
ルミ - この作品凄く好きです！更新頑張って下さい！ (2023年7月3日 0時) (レス) id: 7a52c02687 (このIDを非表示/違反報告)
澪桜(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！続きを読むの楽しみに待ってます🎶 (2023年6月20日 9時) (レス) @page12 id: 8aa45553d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：坂本 | 作成日時：2023年3月27日 21時
