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「たーなか! 早く!」

「わかったって!」


ちょうど一年前
たまたま同じクラスになって、たまたま仲良くなった田中に誘われて入った男子バレー部

今では、学校生活の中で部活が一番楽しみな時間になっている

2年生でも同じクラスになった田中を急かして部活に向かう

なんてったって今日は1年生が来る日だから


そして、私の憧れる先輩にも会えるから
毎日毎日走って部活に向かう

少しでも長く話していたい


「あっスガさん! こんにちは!」

「よー! 今日も元気でいいなー」


ふわふわと優しい雰囲気を纏って前を歩いていたスガさん
私の意中の人

急いで追いついて他愛ない会話を交わす
田中もやっと追いついてきて、挨拶をした


「にしても、毎日走ってくるとかどんだけ部活好きだよ」

「だって好きですから!」

「元気で何より!」


本当に好きなのはスガさんなのだけど

そんな本音を隠す私にもニコニコと笑いかけてくれるスガさんの笑顔に癒される
大好きな人の大好きな顔は何よりのパワーに変わる

ちなみに、告白なんかは出来ていない
何故かって、私は根っからのチキンなのだ

この時間があるだけで充分


そうして、何やら騒がしいバレー部の体育館に着いた



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作者名:観月 | 作成日時:2020年9月17日 5時

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