キセキ (ページ13)

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樹side

Aときょもは、昔はかなり仲がよかった。“よかった”と過去形になるのは、今はいわゆる不仲と言われる状態だからだ。不仲、というよりかはAが一方的にきょもを避けてるだけ？

お互い、親が有名なことで“親の七光り”と世間からは言われていたから、わかり合える部分もあったんだと思う。
Aはいろんなドラマに出演するのが殆どで、先輩のバックにつくことは珍しかった。その頃はファンの方達の迷惑行為が酷かった頃だから、女子のAがステージにいたらどんな目に遭うか分からなかった。だから、出来るだけステージには立たせないようにしてたみたいだ。Aは文句なんて一言も言わず、自分に与えられた仕事を一生懸命こなしていた。

「私はね、いつかお父さんとドラマで、お母さんとはファッションショーとか雑誌で共演するのが夢なんだ。自分の実力でね」

お父さんは有名な俳優、お母さんはこれまた有名なモデル。
そんな話をしたのがバカレアの時。それからAは、確実に活動の場を広げていった。ミュージカルだったり、声優だったり。2014年には夢を叶えてしまった。それから、バカレア組でSixTONESを結成した。

6つの石と1つの音。そんな意味があるらしい。
俺らが石で、Aが音。

Aはもう日本で名前を知らない人は居ないんじゃないか、というくらいにまで知名度を上げていった。そのおかげで俺らの知名度も上がった。

俺らがAをSixTONESというグループに縛り付けてるんじゃないか。
AはSixTONESよりもっと自分らしく活動できる場所があるのではないか。
そんな事を考える時間が増えた。

SixTONESを結成した頃から、Aときょもは同棲していた。何処から見ても完璧なカップルで別れるなんてあり得ないと思っていた。

2017年、AがSixTONESを脱退してソロデビューすることをジャニーさんから聞いた。
最初の内はAも難色を示していた。
でも、何処かで焦りを感じていたのだろう。後輩達が次々とデビューしていく姿に。女性のアイドルは男性よりアイドルとしての寿命が短い。そんな事も考えての上だったのだろう。
Aはソロデビューすることを決めた。