眠れる姫と黒き誓い Ⅱ (ページ7)

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◼️. ページ7

展示室に、静かな光が差し込んでいた
古の時を超えたその瞬間、全てが止まったように感じられるほど、世界は静寂に包まれていた

ガラス越しに目を開けた姫と視線が合う

俺は、ゆっくりと手を伸ばした
まるで、何かを壊してしまわないように――いや、自分自身の鼓動すら慎重に扱うような動きで

「……思い出したんだ。
君を守るって、あの日、誓ったこと。
君を置いて眠らせたこと。
……そして、また君に会いに来るって、約束したことも」

姫は、そっとその手に指を伸ばす
まだ体が完全には動かない。でも、心は確かに動いていた

「……蓮……」

名前を呼ぶその声に、胸が締めつけられる
記憶が蘇る痛みよりも、こうして再び触れられることの歓びが、圧倒的だった

そして、ガラスケースの光がふわりと揺れ、光がふわりと舞い上がる

まるで永き眠りを閉じ込めていた結界が解けるように、ガラスの展示ケースが静かに消え、姫の身体がゆっくりと現実の床へと降り立った

もう一度、その手を伸ばす

今度は、躊躇わずに
姫が、彼の手を取った瞬間――
世界に、ひとつの“再会”が生まれた

時間が、再び動き始める

「……迎えに、来たよ」

瞳に、涙が浮かぶ

「ずっと、待ってたわ」

姫がそっと微笑む

ふたりの指が触れ合ったその瞬間、時空を越えて結ばれた約束が、やっと果たされたのだった