眠れる姫と黒き誓い Ⅱ (ページ5)

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◼️. ページ5

手のひらの中の指輪を見つめる

それは、まるで自分の鼓動と呼応するかのように、かすかに輝いていた

「君を迎えに来たよ」

そう呟きながら、そっと展示ケースのガラスに手を触れた

――その瞬間、光が弾けた

目を焼くようなまばゆい光に包まれ、展示室全体が金色に染まっていく
風が、確かに吹いた
密閉されたはずの室内で

「……！」

ガラスの向こうに眠っていた姫の身体が、ふわりと淡い光に包まれ始める

無意識に、手にした指輪を姫の胸元へとそっとかざした

その瞬間――

指輪の光と、姫の胸元にあるペンダントの光が、呼応するように共鳴し始めた
眩いほどの輝きが展示室全体を満たし、空間の境界があやふやになっていく

「……あ……」

微かな声

確かに、姫の唇が動いた

「今の……！」

再び、姫の瞼が、わずかに揺れた

そして――静かに、長いまつげの奥から、その瞳がゆっくりと開かれていく

まるで朝日のように柔らかく、けれど確かに、彼女は「目覚め」始めていた

その瞳が、こちらを捉える

時間が、止まったようだった

どこか戸惑うように瞬きをした後、姫の唇が、ゆっくりと動く

「……あなた……なの……？」

その声は、まるで風に溶けるように儚く、それでいて確かに、胸の奥を震わせた

「俺だよ……やっと、会えた」

その言葉に、姫の目元に涙が浮かぶ

遠い記憶の底から、彼女もまた思い出したのだ
自分を守ると誓ってくれた、ただ一人の騎士のことを

奇跡は、起きた

永遠に閉ざされたと思われた眠りは、蓮の“想い”によって、静かに解かれていったのだった