◼️. ページ2
伝説の姫とその騎士に関する記述は、その後も続いていた
姫が眠りについてから、何百年が経過しても、姫の目覚めを待ち続ける騎士の姿
その騎士が何度も過去の時代を越えて、姫を守るために戦い続ける物語が語られていた
そして最後に、こう結ばれていた
『姫が目を覚ますとき、彼女を守る者が必ず現れるだろう。指輪は、誓いの証。迎えに来たとき、それが目覚めの鍵になる――』
「......指輪？」
本を閉じ、少し考え込む
その時、展示室の隅から声がかけられた
「おや、お若い方。どうかしましたか？」
振り返ると、そこには博物館の老館長が立っていた
その老人は、目を細めながら蓮に歩み寄り、少し微笑んだ
「何かお探しですか？」
一瞬言葉に詰まったが、ふと自分の胸に抱えていた疑問を口にした
「この伝説の姫とその騎士の話、少し気になっていて……。実は、最近、ある夢を見たんです。その夢の内容と、この本に書かれていることが、あまりにも似ていて……」
老館長はじっとこちらを見つめ、静かな声で言った
「夢ですか……？」
うなずき答えた
「そうです。何度も繰り返し見ているんです。夢の中で、僕は……その騎士みたいなんです。でも、まるで他の誰かの記憶が流れ込んでくるようで、どうしても忘れられなくて」
館長は少し考え込んだ後、静かに言った
「そうか、あなたが夢を見たのは、偶然ではないのかもしれませんね。実は、この伝説に関して、過去にも奇妙な話が伝えられています。姫と騎士の魂が繋がり、次の生で再び巡り合う――そういった話です」
胸が一瞬で高鳴る
「本当に……？」
「ええ、伝説には、姫が目覚める時、騎士もまたその場所に戻って来ると言われています。それがどんな形で起こるのか、私には分かりませんが、運命が導くのだと考えられているのです」
その言葉に、ただ静かにうなずいた
目の前にいる老人の話が、まるで自分の胸の中に灯った火に油を注ぐように感じられた
「運命……ですか」
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作者名：みぃぷ | 作成日時：2025年5月8日 18時
