諏訪くんは普通じゃない２

60話｢尋問｣ ページ24

唯人との再会から､一週間｡

過去のわだかまりも解け､宮古くんと奈津の件ももしかしたらこのまま一気にうまくまとめられるかも？なんて思っていた私が馬鹿だった｡


宮 ｢二ノ瀬さん､ノート提出だって｡"他の人"のも一緒に出してくれる？｣

｢え､あの､奈津が目の前に､｣

奈 ｢ああにのっち､私の分も"委員長"にまとめて出しといて？｣

｢え､だから､宮古くんに直接､」

宮･奈 ｢｢よろしく｣｣



終始こんな調子で､お互い目も合わせない｡
お節介だとは分かりつつも､仲直りのために色々と手を回してみてはいるのだが､特に変化はなく･･･

むしろ､奈津の態度がどんどん頑なになっていくばかり｡


｢ねえ諏訪くん､どうしたらいいと思う？｣


授業中だというのに､思わずそんな言葉を漏らしてしまった｡
だが､諏訪くんは｢なんのことだ？｣と返してくれる｡


｢奈津と宮古くん｡深空に言われた通り､ふたりの問題なのは分かってるんだけど､どう見てもいい方に向かっていってるとは思えないんだよね｣


そういってため息をつくと､諏訪くんは顎に手をやり､


諏 ｢思ったんだが･･･心の底から怒ってるのは宮古の方じゃないか？｣

｢どういうこと？｣

諏 ｢つまり､喧嘩の原因は磯野の方にあるんじゃないかってことだ｡
磯野は確かに怒っているが､どちらかというと､無視をする宮古に対して意地を張っているように見える｡｣


｢ってことは､宮古くんに事情を聞いてみればいいのかな｣


諏 ｢多分な｡･･････なんだ？｣



諏訪くんが怪訝そうな目で私を見た｡

あまりに諏訪くんが､ふたりのことをちゃんと見ているものだから､素直にすごいな､と少し思えてしまった､なんて言えるわけがない｡

私は｢なんでもないよ｣と返し､話は終わり､と言う意味も込め､黒板に向き直った｡



+++


宮 ｢別に怒ってなんかないさ｣



諏訪くんの助言をもとに､昼休みに宮古くんを屋上へ連行してきたのだが､返ってきた返事はそっけないものだった｡

心配だからと一緒に来てくれた諏訪くんが､｢そんなわけはない｣と言い返す｡



諏 ｢じゃあどうして話もしないんだ｣


宮 ｢それは･･･そもそも､ってことなんじゃない｣


｢そもそも･･･？｣



彼の言葉の意味が分からず､繰り返すと､宮古くんはちょっと唇を歪め､自嘲気味な笑顔を浮かべた｡



宮 ｢･･･僕と磯野じゃ､いるべき場所も取り巻く環境も違うんだ｡


一緒にいるべきじゃ､なかったのかもね｣

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