諏訪くんは普通じゃない２

51話｢馬鹿正直｣ ページ14

｢宮古くんの女性事情って､なんでそんなこと？｣


奈津の相談に､呆気に取られずにはいられなかった｡

固まる私と､興味深そうに瞳を輝かせている諏訪くんをどう思ったのか､奈津は｢いっいや､そんなんじゃなくてな､違うんだよ！｣と両手を顔の前で振った｡ますます怪しい｡


奈 ｢なにその目！本当に違うんだって！実はな…宮古を好きだって言ってるヤツがいて､そいつに協力したいんだよ｣


｢へえ｡確かに宮古くんモテそうだもんね…｣



おかしな話ではないと思い､納得しつつ頷く｡奈津はなにやら｢う､うん､まあな･･･｣と珍しく歯切れが悪いが､そこにすかさず諏訪くんが切り込む｡


諏 ｢宮古の女性関係なら､宮古に聞けばいいんじゃないか？｣


｢馬鹿なの？ねえ､諏訪くん､馬鹿なの？｣


諏 ｢二回も聞くな｣


｢大事なことだよ？｣



こんなところで天然炸裂させてどうする｡
ため息を吐いて奈津に向き直ると､


｢わっ｡･･･な､奈津？｣


奈津が机に頭を擦りつけていた｡しかし､向いている方向にいるのは､私ではなく諏訪くんだ｡


奈 ｢頼む､諏訪！男の諏訪なら怪しまれずに聞けるっしょ？ここはいっちょ人助けだと思ってさあ！ね！？｣


諏訪くんの袖をぐいぐい引っ張る｡ひ､必死だな奈津･･･

しかし当の諏訪くんはキョトンとしたまま頭を机に押し付けるギャルを見下ろしている｡実にシュールな光景だ｡



諏 ｢怪しまれずにって､磯野や二ノ瀬でも別に普通に､｣


奈 ｢無理だから言ってんの！お願いだよ､一生に一度の頼みだ！！｣



ああ､よく使われるやつだ･･･一生に一度は無限にくるんだよね｡

一人でしみじみとしていると､黙っていた諏訪くんが突然｢よし｣と声を上げて席を立った｡



諏 ｢行ってくる｣


｢今から！？｣



有言実行すぎでしょ･･･と呆れている私たちを置き､教室の前の方で数人としゃべっている宮古くんの元へ､諏訪くんは迷いもなく向かっていく｡ハラハラするなあ､もう｡

諏訪くんに気づいたらしい宮古くんが､｢おはよう｣と声をかけるが､諏訪くんは｢ああ｣と挨拶もそこそこに本題を切り出す｡



諏 ｢宮古､今は彼女いるのか｣


大分直球だなと思ったけれど､まあこれくらいならセーフだろう｡引き続き見守る｡



宮 ｢急にどうしたんだ？｣




諏 ｢実はな､宮古のことを好きな奴がいるらしくて､宮古の女性事情を磯野が教えてやりたいらしいんだ｣

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