28話「間違えた道」 ページ30
唯人は何も言わない。黙ったまま、うつむいている。
『キーンコーンカーンコーン』
沈黙の間をチャイムの音が打ち破る。
それでも唯人は、ぴくりとも動こうとしなかった。
「・・・予鈴だね。授業始まるし、もう行こう」
返事は返ってこない。再び沈黙が場を包み、耐え切れなくなった私は、「先に戻ってるから」と歩き出した。
唯 「・・・待って」
つかまれたのは、私の腕。つかんだのは、唯人の骨張った手。
落ち着いたはずの動揺が、また大きな波として押し寄せる。
振りほどくこともできず、恐る恐る顔を上げた。
唯 「行かないで」
・・・唯人はいつから、こんな
どうして、今まで気づかなかったんだろう。
そう、後悔した。
「・・・離して、唯人」
唯 「A・・・」
「本当に、ごめん」
唯 「・・・」
私をつかむ指から力が抜け、体が少し離れる。行き場を失った私の腕は、横にだらしなく垂れた。
「ごめんね」
最後にもう一度告げ、今度こそ場を去ろうと背を向けた瞬間
唯 「無理」
肩を強引に引っ張られ、
「え、」
鼻がつきそうなほど至近距離に、見慣れた整った顔。
目を閉じた彼は、少しずつ顔を寄せる。
女子たちが騒いでいた"キスしたい"唇が、今息がかかるくらい近くにあって。
呆然としていた私は、事の重大さに気づき、唯人の胸を押そうとする。
しかし、さすがは男子。びくともせず、その間にも唯人が迫りつつあった
。
ああ、やばい。どうしよう。
結構、動揺してる、私。
・・・唇から漏れた彼の吐息が頬にかかって、
「やめっ、」
水 「ゆ、いと・・・A・・・」
「!」
今一番会ってはいけなかった人が、そこにいた。
ああ、どうして。
私たちはどこで間違えた?
水城が唯人を好きになったところから?
唯人が私を好きになったところから?
それとも、私がふたりと行動するようになったところから?
どこで道を間違えたのか、今となっては、もう分からない。
++++
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あかり(プロフ) - ISLAYさん» ありがとうございます!!そうなんですよー!主人公よりかわいくあれ!と思って書いております←(^^ゞ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
ISLAY - 諏訪くんって、可愛いですよね。 (2018年11月26日 9時) (レス) id: a0fdea4e50 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます^^イラスト集が完結した分、こちらの更新が亀にならないよう気をつけていく所存です!← (2018年11月24日 14時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - とっても面白いです!!イラストが完結してしまったのは寂しいですが、小説も応援しております!!∩^ω^∩ (2018年11月24日 10時) (レス) id: 117c5ce46f (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - かぐやさん» ありがとうございます!!諏訪くん私も好きなんですよ~。ちょっと、いやかなり私の好みが組み込まれてます笑 (2018年10月28日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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