27話「崩れたのは一体何か」 ページ29
.二ノ瀬Aさん、今日の昼休み、中庭のベンチの前に来てください。
「なにこれ」
"それ"を見つけたのは、水城の唯人が好きだという話を聞いた翌日だった。
下駄箱に入っていたピンク色の小さな紙を取り出す。
横から水城が顔を出し、
水 「ん?ぅおっ、ラブレター!?やるじゃん、A」
「やめてよ、もう」
ニヤニヤとからかう水城に、苦笑いで返す。
そして内心、(どうしよう…)と焦っていた。
++++
.ここ、だよね・・・?
水城には先に教室で食べていてもらうことにして、昼休み、私は中庭を訪れていた。
中庭に人気はない。校舎の壁の時計を見上げると、あと20分ほど昼休みが残っていた。
待たせちゃ悪い。
ベンチに向かおうと、歩き出した時だった。
唯 「A」
・・・間違うはずがない。けれどなぜ、ここにいるのか。
どうして、唯人が立っているのか。
唯 「A、待ってた。来てくれてありがとう」
私約束あるからまたね、とか、こんなとこで何してるの?とか、尋ねようと準備していたことはたくさんあったのに、微笑む彼のその言葉で、全部無駄になった。
混乱する頭に、水城の顔がよぎる。
・・・ここにいては、ダメだ。
それにまだ、"話"というのが、私の思うものであると決まったわけじゃない。自意識過剰にもほどがある。
唯 「手紙、読んでくれたんだね」
「えっと・・・用、件は・・・?」
唯 「分かってるくせに」
にこ、と笑って唯人は一歩近づいてくる。
それに比例するように、私は後ずさった。
けれど唯人は穏やかな微笑みを浮かべたまま、再び一歩、そして一気に目の前まで来て立ち止まる。
唯 「・・・A、好きだよ」
「ごめん」
半分は、唯人がまさか、なぜ、という気持ち。そしてもう半分は、水城になんて言おう、だった。
想いを告げられたのに、薄情なものだ。分かっているのに、どうしても首を縦に振る自分は想像できなかった。
頬を紅く染め、唯人を好きだと告げた水城。
彼女を、親友を裏切ることは絶対にできない。それだけはしてはいけない。
・・・だから、
「唯人、ごめん。私は応えられない。唯人のことをそういう風には見れないし、見ようとも思えないから。ごめん」
自分勝手だと罵られるかもしれない。あんまりだ、と。
けれどそれでも、私には守りたいものがある。
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あかり(プロフ) - ISLAYさん» ありがとうございます!!そうなんですよー!主人公よりかわいくあれ!と思って書いております←(^^ゞ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
ISLAY - 諏訪くんって、可愛いですよね。 (2018年11月26日 9時) (レス) id: a0fdea4e50 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます^^イラスト集が完結した分、こちらの更新が亀にならないよう気をつけていく所存です!← (2018年11月24日 14時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - とっても面白いです!!イラストが完結してしまったのは寂しいですが、小説も応援しております!!∩^ω^∩ (2018年11月24日 10時) (レス) id: 117c5ce46f (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - かぐやさん» ありがとうございます!!諏訪くん私も好きなんですよ~。ちょっと、いやかなり私の好みが組み込まれてます笑 (2018年10月28日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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